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利吉side



利吉「Aさん」



後ろから名を呼ぶと、
Aさんがゆっくりと振り向いた。




『……あ、利吉くん!』




疲れた顔は見せないのだ。
それがAさんなのだ。


そのへろんとした笑顔だって
誤魔化しているつもりかもしれないけれど、
私にはわかる。






そう。

この人、めちゃくちゃ空腹だ。






この、へろんとした笑顔は空腹の証拠だ。
Aさんを観察し続けた統計上、そうなのだ。



Aさんは話していた相手に挨拶をしてから、
私の元へ来てくれた。




『お待たせ、どうしたの?』



利吉「Aさん、お腹空いてますね。
  それも、ものすごく」



ずばり言い当てたらしく、
Aさんの顔はポッと赤くなった。

ほら、可愛くない?恥ずかしいんだって。




『なっ、なんでわかるの!』




これがわかるに決まっている。
いつもどれだけ観察していると思っているのだ。






利吉「Aさんのこと、いつも見てるから」





『見ないでよ怖いよ』



利吉「ひどい」





本当、この人には
どんな言葉も響かないのがおもしろい。




利吉「それじゃぁ、
  私がとびっきり美味しい食事をご馳走しますよ」



『えっ、ほんと?!』




……あ、これは響くんだ。





◆◇




『どこまで行くの、どこまで行くの』




私の少し後ろを歩くAさん。
歩かせすぎたか、もうふらふらじゃないか。
空腹の度が過ぎているだろう。




私は立ち止まって、屈んだ。




利吉「はい、どうぞ」



『え?』



利吉「おんぶ」




えっ、嫌だ!とAさんは即答した。




利吉「横抱きがお望みでしたか、すみません」



『お背中借ります、すみません』




背中に感じるAさんの体温。
よほど疲れたんだろう。

もう少し嫌だとか言われるかと思ったけれど、
案外素直だった。







『利吉くんの背中……しっかり男の人だねぇ』






背中にぺったりと片頬を押し付けて、
Aさんは呟いた。




私の言葉は全然響かないのに、
Aさんの言葉に、私は簡単に翻弄される。






利吉「……狼にもなります」




『おろしてください』

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設定タグ:忍たま , 山田利吉 , RKRN   
作品ジャンル:恋愛
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はな(プロフ) - でん太郎さん» お返事遅くなりました!利吉さんどんどん変になっていきますどうしよう笑"大好きだなんて!ありがとうございます!とっても嬉しいです!のろのろ更新ですが頑張りますね。コメントありがとうございます❤️ (2022年7月31日 9時) (レス) @page42 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
でん太郎(プロフ) - 利吉さんがギャグ枠になってるのがツボすぎて、大好きです…😭ここで他の作品のことをお伝えするのもアレかとは思いますが、全作品、構成も夢主も、文章もとても大好きです、これからもずっと応援しています🙇‍♀️ (2022年7月13日 22時) (レス) @page9 id: 1487e65024 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 青野ゆあんさん» ありがとうございます!ちょっと変わった利吉さんに挑戦です〜更新頑張りますので、引き続き読んで貰えたら嬉しいです。コメントありがとうございます! (2021年12月25日 22時) (レス) @page12 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
青野ゆあん(プロフ) - 好き,,,めっちゃ好き,,, (2021年12月19日 23時) (レス) @page4 id: a96dc153b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はな | 作成日時:2021年12月19日 1時

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