【忍たま】利吉くんの好きな人。【山田利吉】

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you side



とりあえず町の中を真っ直ぐ突き進んできたけれど。


私はぴたりと足を止めて、振り返った。
さすがにもう、利吉くんと女性の姿は見えない。




『……はぁ』




今更ながら、
利吉くんに過去の話をしたのが正解だったのか、
わからなくなっていた。

……私が勝手に喋っておいて何だけれど。




どういう関係か知らないけれど、
あの女性が利吉くんを探していたのは明白。

そして利吉くんが、
その女性をすっかり？うっかり？忘れていたのも明白。



私には関係のない話かもしれないけれど……
いや、だってあの対応やばくない？



利吉くんの中では私の話も、もしかしたら存在さえも、
どうでも良かったのかもしれない。

今だけでも、
こっちを向いてくれているなんて勝手に思って。
　




"今だけじゃない。
　これからもずっとAさんを追いかけます"


"やだ、追いかけないで……傍にいて"





『うわ、恥ずぅ……！』




こんな思い出すだけでも
恥ずかしい会話を繰り広げておいて、

次会ったら、"ごめん、誰？"と
言われるかもしれないなぁ……なんて。




……まぁ良いや。
町に用事はないし、帰ろう。

ふるふると頭から雑念を飛ばし、
また足を進めようとしたときだった。





「見つけた！」





また背後で声。びくりと身体が震えた。
次は何？！


嫌々振り向くと、




「いたいた、Aさん」



『……土井先生！』




にこにこと私に駆け寄ったのは、
まさかの土井先生だった。





◆◇




『どうしたんです？』




こんな外で会うなんて、驚きと新鮮。




土井「これです。
　 ほら、食堂に忘れていましたよ」



『……？やだ！すみません』




めっちゃ口拭いて、
そのまま忘れてきたらしい。



ほら、土井先生がこんな私を好きになるわけない。
利吉くんも変なこと言わないでほしい。




土井「……利吉くんは？」



『女の子に連れられていきましたよ』



土井「あぁ……Aさん、少し時間あります？」






土井先生は苦笑いを浮かべた後、そう言った。

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