27 ページ29
you side
『私はひとりでも平気だよ』
利吉「そう言う人ほど、そうじゃないんですよ」
『仕事だっていつもひとりだし』
利吉「えぇ。仕事なら、
ひとりで行ってもらって構いませんよ」
利吉くんの家でそんな話を続けていたら、
あっという間に時間は進んでしまっていた。
もう寝る時間、といったところじゃないだろうか。
『仕事も、ひとりで家に帰るのも一緒だよ』
そこらの男に襲われなんかしない。
山賊なんかが出てきても、撒ける自信はある。
利吉「あのね、Aさん」
利吉くんはため息を吐いて、私の肩に手を置いた。
利吉「自分に過去を話してくれて、
だけどそのせいでぼろぼろ泣いてしまって……
そんな繊細な女性を、ひとりで帰せると思います?」
『えっと、あの』
利吉「それにAさん……
私に"傍にいて"って言ったでしょう?」
言った?私そんなこと言った?
そう自分の心に聞いてみるけど………うん、言ったな。
利吉「ね?……仰せの通りに」
……あんまり、優しくしないでよ。
心の傷口にズキンと滲みて、痛いから。
◆◇
結局、私はそのまま利吉くんの家で眠ることになった。
『じゃぁ約束だからね』
利吉「もちろんです」
利吉くんの提案で、
明日の朝、忍術学園の食堂に
朝食を食べにいくことになったから。
利吉「私も朝方まで忍務だったりすると、
終わってそのまま食べに寄ったりするんです」
『そうなんだ、いいなぁ。楽しみ』
私はわくわくしながら、布団に寝転んだ。
利吉「……ところでAさん」
『え?』
利吉「こんなに離れないといけませんか?
もはや声も聞き取り辛いんですけど」
利吉くんを覗き込むと、不満そうに唇を尖らせている。
それもそのばず、というか。
利吉くんが土間を上がってすぐの板間、
私が障子を挟んでその奥の板間に、
それぞれ寝ているから。
『これで良いの』
利吉「嫌だ、遠すぎます」
利吉くんはそう言うけれど、
いつ、利吉くんが私に飽きても良いように。
私が利吉くんに懐いてしまわないよに。
『おやすみ、利吉くん』
適正な距離感が必要なのです。
230人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はな(プロフ) - でん太郎さん» お返事遅くなりました!利吉さんどんどん変になっていきますどうしよう笑"大好きだなんて!ありがとうございます!とっても嬉しいです!のろのろ更新ですが頑張りますね。コメントありがとうございます❤️ (2022年7月31日 9時) (レス) @page42 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
でん太郎(プロフ) - 利吉さんがギャグ枠になってるのがツボすぎて、大好きです…😭ここで他の作品のことをお伝えするのもアレかとは思いますが、全作品、構成も夢主も、文章もとても大好きです、これからもずっと応援しています🙇♀️ (2022年7月13日 22時) (レス) @page9 id: 1487e65024 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 青野ゆあんさん» ありがとうございます!ちょっと変わった利吉さんに挑戦です〜更新頑張りますので、引き続き読んで貰えたら嬉しいです。コメントありがとうございます! (2021年12月25日 22時) (レス) @page12 id: f70efdef00 (このIDを非表示/違反報告)
青野ゆあん(プロフ) - 好き,,,めっちゃ好き,,, (2021年12月19日 23時) (レス) @page4 id: a96dc153b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はな | 作成日時:2021年12月19日 1時