【忍たま】利吉くんの好きな人。【山田利吉】

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you side



利吉「Aさんは？」



『私にも故郷はあるけれど、色々あってね。
　帰ってない……帰りたくないの』




さすがに利吉くんも、
私の故郷のことまでは知らないようだ。


人に話したこともないし、当たり前だけれど。




利吉「ご家族と何か？」



『ううん、そうじゃないの。
　手紙も送り合っているし……ただ、うん。色々よ』






利吉「好きな人と関係ありますか？」



『っ、』






……しまった。
言葉に詰まってしまった。




利吉くんは私の顔を覗き込むように見ると、
静かに言った。




利吉「……あるんですね？」



『り、利吉くんには関係ないよ』



利吉「あります」



『ないよ』




全くもって関係ないじゃないか。

私と貴方は、知り合いだ。知人だ。

ついては忍同士なのだ。




利吉「ありますよ。言ったでしょう？
　 Aさんのことは全部知りたいんだって」



『興味本位はやめてほしいの』



利吉「違う。Aさんの頭の中を、
　 私でいっぱいにしたいからです。
　
　 他の男が入る隙間なんていらない………
　 ねぇ、話して？」




私はゆっくり近付いてくる利吉くんに、首を振る。




利吉「どうしてです」



『君は私に構っていないで、
　女の子たちと遊んでおいで』




私は立ち上がって、板戸を開けた。
利吉くんが私を追うように立ち上がる。




利吉「は……女の子たちって、Aさん」



『お茶飲んだでしょ。またね』




ぐいぐい利吉くんの背中を押して、
ぴしゃりと板戸を閉めた。




話せるわけないでしょ。

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