【忍たま】私は久々知くんが。【久々知兵助】

久々の、正体 ページ32

you side



「やぁ、A」



放課後、こちらに向かってくる彼は。




『兵助』



「授業お疲れ様。……どうした？」




目の前で、ひらひらと手を振る兵助。




『兵助こそ私服で……出掛けるの？』




さっきまで兵助も授業だったはずだけど、
何故か私服だし、そんな柄の……持ってたっけ？




「どうしてかな。
　ね、Aも一緒に出掛けようよ」



『出掛けるってどこに』




兵助は、きらきらと目を輝かせて私を覗き込む。




「ふたりきりになれる所」



『なっ、』




急にどうしたの。
困惑していたら、兵助は私をふわりと抱きしめた。




『ちょ、ちょっと兵助。
　誰かに見られたら……って、ん？』



「どうしたの？」




……なんか、違う。
抱きしめられた感じも、匂いも……




『貴方、兵助じゃ……』




ないでしょ、そう言いかけた時。





兵助「こら三郎！俺に変装するな！」




突然の大声に、びくっと身体が跳ねた。
声のした方に首を向けると……




『へ、兵助！？』




こちらに走ってくるのは……兵助！？

"兵助らしき人"から引っぺがして、
兵助は私の手を引いて後ろに隠した。




鉢屋「……あははっ！ごめんごめん、兵助！」



『三郎くん！』



鉢屋「久しぶり、この顔の方がしっくりくるかな」




変装の名人である鉢屋三郎くんは、兵助の顔から
あっという間に不破雷蔵くんの顔になった。

　


『確かにしっくり……って、本当に久しぶりだねぇ』



鉢屋「久々に忍術学園に顔を出そうときてみたらさ、
　 小松田さんが"久々知くんとAさんが先生に
　 なったんですよ"って言うもんだから」




驚いたよ、と三郎くんは笑った。




鉢屋「ふたりともすごいよ」



兵助「それはありがとうだけど、
　 俺の顔でAに抱きつくのやめろよ」




兵助はむすっと、ご機嫌ななめの様子。

私もすぐに三郎くんだと気付けずに
抱きしめられたままでいたから、申し訳ない。




鉢屋「ごめんって！でもAは気付いたよ、
　 俺が兵助じゃないって。な、A」



『うん、抱きしめられた感じとか……匂いが、』



兵助「に、匂いって……Aっ……！
　 あ、Aっ…」




ふたりの時以外は私を苗字で呼ぶ兵助が、
顔を真っ赤にして私の名を叫んだ。




鉢屋「はいはい、
　 見せつけるのやめてくださーい」

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