【忍たま】私は久々知くんが。【久々知兵助】

私の、 ページ30

you side



兵助とは食堂で別れた。


私はお風呂に入りたい気分だったから、
そのまま向かうことにした。

気持ちの良い夜風に当たってから、
冷たいお茶で喉を潤す。




『疲れたぁ』




明日はお休み。
仕事も少し進めないといけないけれど、
のんびりする時間も作ろう。


補習テストの採点だけ終わらせておこう。
そう思い机に向かうと、
障子の向こうで兵助の声がした。




兵助「A、入っても良い？」



『うん、どうぞ』




障子を開けた兵助もお風呂上がりだったようで、
寝間着に、髪は下の方でゆるっとまとめている。




『……色っぽいね』



大人の色気。




兵助「あはは、そう？……で、なんだって？」




兵助は笑って、机に向かう私の隣に座った。




『何が？』



兵助「夕食のときに言っただろ？
　 ……Aの様子、いつもと違ったし」




そう言って私の顔を覗き込む兵助は、

長いまつ毛、綺麗な鼻筋。



改めて見るとほんと、大人になって益々……




『か、格好良い……』




兵助「えぇ！？」




急に私がそんなことを言うもんだから、
兵助はボッと顔を赤らめた。




兵助「な、何！急にっ……」




私は手に持っていた筆をバン！っと置いて、
兵助の髪をぐいぐい引っ張った。




兵助「痛い痛い、一体どうし……」



『……って、……もん』



兵助「え？」




『生徒たちが……兵助のこと素敵だって、
　格好良いって言うんだもん』





私はきっと、嫉妬したんだ。



そこまで言うつもりはなかったのに
一度口を開いてしまうと、もう止まらない。




『笑顔が爽やかとか、荷物持ってくれたとか、
　真面目そうとか、恋人いるのかとか』



兵助「A……」




私が恋人なのに………私の……





『私の……兵助なのに』





呆れられるかもしれないけれど、
そんな気持ちでいっぱいになった。



何故か溢れてしまう涙が嫌だ。




兵助「……A」



『ご、ごめん。変なこと言って……あの、』



兵助「やきもち、妬いてくれたの？」




止まってくれない涙を、兵助は優しく拭う。






『………呆れないの？怒らないの？』




兵助「え、どうして？
　 めちゃくちゃ嬉しいよ」






恐る恐る聞いた私の心を、
兵助はとても優しい笑顔で包み込んだ。

真面目の不真面目→←悔しい

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す