【忍たま】私は久々知くんが。【久々知兵助】

ピースサイン ページ2

you side



「おーい、Aー！」




とある日の放課後。



中庭を抜けようと木の枝から枝へ
ぴょんぴょん跳んでいたら、下から呼びかけられた。


ききっ、とブレーキをかけるように止まる。




「こっちこっち」



『尾浜勘右衛門くん』




こちらに向かって手を振るのは
五年い組、学級委員長の彼。




尾浜「ごめんごめん、今忙しい？」



『ううん、とくに……っと！』




用事を済ませた帰りだったので、問題ない。
私は尾浜君の前に跳び降りた。




尾浜「よかった。聞いてくれよ、この間」



『うんうん』




尾浜君とは学級委員会で一緒だ。


会えばこうして話す仲。そういえば、
よく声を掛けてくれるような気がする。




ただ不思議なのな、決まって話題は




尾浜「兵助がさぁ」




久々知くんのことだということ。




好きな人の話が聞けるのは嬉しいんだけれど、
ニヤニヤしないようにとか、
話にがっつきすぎないように気を付けたり忙しい。







尾浜「あの実習のときは、兵助も大活躍で……
　 あ、A。こっちに一緒に来てくれよ」



『どうしたの？そっちは食堂でしょ？』



尾浜「まぁまぁ、ついてきて」




………？

何なのか興味もわいて、
私は尾浜くんの後ろをついて行くことにした。







◆◇




尾浜「Aは、豆腐って好き？」



『豆腐？うん、好き』




普通に好きだし、
久々知くんの大好物だからという理由でも好きだ。

私も豆腐くらい久々知くんに好かれたい。
あらやだ、恥ずかしい。






尾浜「よかった……さぁ着いた」




着いたのは、やっぱり食堂だった。




『なに、お茶でもするの？』






まぁまぁと背中を押されて食堂内に入ってみれば、




尾浜「おーい、兵助！きたぞー！」



兵助「あ、勘右衛門！遅かっ……え！」




割烹着に身を包んだ久々知くんが、
調理場に立っていた。




『え！！かわっ……… ！』



兵助「Aっ……！か、勘右衛門！」




割烹着姿が可愛すぎて、
私の後ろで尾浜くんが久々知くんに
ピースサインを送っていたなんて、気付かなかった。

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