【ky】今度は愛していいですか【実況者】

story 12 ページ13

次の日、朝一の飛行機で私は東京に戻った。



空港にはマネージャーが迎えに来てくれていて、私はその車に乗りこんで早速仕事の現場へ向かう。




マ「同窓会はどうだった？」


『うん、久々に親友に会えて嬉しかったし、楽しかったよ。でもみんな私のことを腫れ物みたいに扱ってた』


マ「まあ、人気女優が同窓会に来てたら困惑するよね」




黒髪の短髪のマネージャーを見て、キヨくんを思い出す。



キヨくんは黒髪に戻っていたけれど、もっと髪の毛が長くてふわふわしていたな、なんて。



マ「で、例の彼には会えた？」



穏やかで優しい、テノールの声で私に尋ねる。


私が忙しいスケジュールの合間を縫って同窓会に参加する理由を、彼は知っていたから。



『会えたよ』


マ「お、良かったな。じゃあ無事あの頃の関係に？」


『うん。―――友達、にね』



私がそう言うと、運転席のマネージャーが固まったような気がしたけれど、すぐにその感覚はなくなった。



そうか、とポツリ呟くマネージャー。その一言が、今の私とキヨくんの関係は私が望んでいたものじゃないということを余計に感じさせて、目頭が熱くなった。




―――28歳までは、恋愛禁止。




それが、私の所属する事務所の決まりだった。





29歳になった今、もうその呪縛から解かれた。




だから私は、大好きなキヨくんとの関係を取り戻すために、彼に会うために同窓会へ出席した。





けれど、彼は悲しい現実を突きつけてきた。





"友達"。恋人からその関係に戻ってしまったら、再び恋人になるのは困難だと、私は理解していた。





再び目頭が熱くなったとき、私のスマホが通知を知らせた。





キヨくん会えて良かった。また友達としてよろしくな。






なんて残酷な人だろう。




悲しくて、哀しくて、仕方がない。





A私も会えて良かった。またこれからよろしくね。






今の私には、これしか送ることが出来なかった。

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