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降谷side
僕が思考をめぐらせていると後ろからものすごいスピードでサッカーボールが飛んできた。
そしてそれは男の顔に命中し、男はそのまま倒れる。どうやら失神してしまったようだ。
「…………着いてくるなと言っただろう、コナン君」
後ろを振り向けば、俺の膝ほどしかない小さな少年がいた。
「えへへ、でも早川さん助かったでしょ?」
「…………今回ばかりは感謝するよ」
少しトゲのある言い方にコナンくんは苦笑いをする。すると風見にロープを解いて貰った早川が「なんで助けに来たの!」と俺に怒鳴った。
『私が捜査でミスをしたんだからこれは私の責任よ!!助けなんていらなかったわ!!』
完全にこれは彼女の裏の顔だ。この場には僕以外の人間もいるというのに、彼女は猫を被らずに僕に怒っている。僕以外の人間は普段の彼女との差に驚いていた。
『迷惑なのよ!なんで助けたの!』
早川の顔は酷く歪んでいた。
僕は早川に向かってゆっくりと歩み寄る。
『こないで!』
そんな彼女の主張など気にせずに目の前に立った。
『降谷なんて大きら…………』
僕は早川を抱きしめた。
早川は驚いて言葉を失う。
「………………無事でよかった」
彼女は僕の言葉を聞いて『降谷のバカ、バカ、大バカ』と小さく言う。その声はとても震えていた。
「生きてて、よかった」
僕の肩は、彼女の涙で濡れていた。
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なみ - とっても面白いです。更新楽しみに待っています!!続きが楽しみです! (2019年8月8日 10時) (レス) id: 0ffda98372 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO - 面白いです!更新待ってます! (2019年4月14日 21時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
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