とんでもないアホ【ツイステ】【男主】

33話 ページ35

Aside


首に感じる重みに、指を滑らせる。


これはリドルクンの愛だと解釈しよう。



ﾗｷﾞ「あー、Aくん？なんで首輪してんスか？」

お洒落ッスか？と横から顔を出したのはパシリのラギークン。
お疲れ様です。


『リドルクンのユニーク魔法だよ。「もうキミをどこにも行かせない…。」て、つけられた。』


ﾗｷﾞ「嘘つけ。」

リドルくんを捏造しないでほしいッス！！
と言い残し、レオナサンに呼ばれているからと去っていった。
お疲れ様です。








そして時は放課後。


「…………………………」


『…………………………』


「…………………………」


『…………………………』


何故か俺は角の生えた高身長と見つめ合っている。

廃墟の前で。

ラブソングを流そうにも、雰囲気は完全にホラー映画に近い。




遡ること数分前。


俺は一人で学園周りをぷらぷらと散歩していたら、ボロい廃墟が目に止まった。

まだ夕方の筈なのに、辺りは薄暗い。


とりあえずここを俺の隠れ家にしようと、柵を超えて一歩踏み出した時。


横から鋭い視線を感じ、俺は咄嗟に振り向いた。


そこにいたのは、角の生えた高身長だった。


そして今に至る。


『……………………』


「……………………」



あれ？目が合ったら、普通話しかけないの？

何故かどちらからとも喋ることなく、
こうして目を合わせている訳だが。


待てよ、まずはこの人から角が生えていることに着眼すべきだ。

顎に手を当てて考える。

何故この人は頭から角を生やしているんだ？


辿り着く答えは………………






ハロウィーンだ。

そう、ここは廃墟、頭からは角。

つまりハロウィーンだ。



俺は状況整理で答えを導き出し、最初に掛ける言葉を見つけ出した。



『…トリック・オア・トリート。』


「…………？」








暫しの沈黙。







「もうハロウィーンの時期なのか？」



懐から飴を取り出して、俺に差し出す角。


ハロウィーンとは程遠いが、きっとこの角は時期を間違えたハロウィーンの妖精に違いない。


いや、待て。




『俺、君のこと知ってるよ。』



この学校で、彼のことは幾度か聞いたことがある。


『世界で5本の指持ってる人でしょ。』


フフン、と鼻を鳴らしながら言う。
俺も情報通になったものだ。





「……貴様も5本ではないのか？」




彼にそう言われ、自分の手を見てみる。









いち、に、さん、し、ご、









『てことは俺も有名人？』

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