空二十六日 ページ26
「お姉ちゃんは、わたしがいなきゃダメなの。お姉ちゃんがいなくなったら、怒られるのはわたしなの。お姉ちゃんは、お姉ちゃんは……」
お姉ちゃんなんて、だいきらい。
かすかに漏れた声は震えていた。
周囲はしぃんと静まりかえっていて、この世界にわたしたち以外誰もいないような不思議な感覚に陥る。
少し考えて、わたしはゆっくりと口を開いた。
「好きに、なりたかったんだよね。お姉さんのこと」
「……っ」
女の子の目尻に、ぷっくりと涙が盛り上がっている。
「そんなんじゃ、ない。わたしは、お姉ちゃんのことが嫌いで……」
「だったら、」
何でそんなに悲しそうなの。
そう言った瞬間、築き上げてきたダムが壊れたように彼女の瞳から大粒の涙が溢れでた。
赤くなった頬を滑る雫が、朝日を反射してきらりと光る。
わたしは何も言えず、彼女の頭を引き寄せた。
目元が当たった肩がじわりと濡れていく感覚と共に、彼女の重みがわたしにのしかかる。
まだ昇りきっていない朝日が、すぐ近くにある頭に天使の輪をつくって、一日が始まったことを知らせた。
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ねこる。 - えるさん» コメントありがとうございます!わたしの小説で心が透明になるだなんて嬉しい限りです…。もっと色々な表現ができるよう頑張ります! (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - まめふなさん» ありがとうございます!レス遅れてすみません…。お話素敵って言ってもらえて嬉しいです!頑張ってラストまで書きます! (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
える - なんか単純に綺麗って言葉が出てきました。空の美しい描写、主人公さんたちの感情表現の書き方が綺麗だと思いました。このお話を読んでる間は心が透明になってる感じでした。作者様の書き方尊敬致します。 (2021年10月17日 7時) (レス) @page27 id: cbb903ca6b (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - 丙ののののさん» コメントありがとうございます!空の描写はめちゃめちゃ時間かけたので、そう言ってもらえると嬉しいです…。今後も感激してもらえるよう頑張ります! (2021年8月16日 8時) (レス) id: 035a026afe (このIDを非表示/違反報告)
丙のののの(プロフ) - 1話目を読み終えたところなのですが…これは…空の描写が美しすぎますね…!くどくないのに美しい情景が伝わる描写…占ツクで初めて見つけました。感激! (2021年8月15日 22時) (レス) id: 4482ed7f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこる。 | 作成日時:2020年6月5日 8時