空三日目 ページ3
「今日は曇り、かぁ……」
はぁ、とため息が溢れる。
曇りが嫌いなわけじゃないけど、今日のコンディションとは相性最悪だ。
「何もする気が起きなーい……」
ダイニングテーブルの椅子に座り、広げたままの課題を睨みつける。
でも、そうしたからと言って課題が減るわけではなく。
「あー、空が見たいー！」
思わず、足をばたばたさせながら叫んだ。
あれ？でも、今日って夜は晴れだったような……？
急いで天気予報を確認すると、見事に夜だけ晴れになっていた。
よし、夜まで頑張るか！
わたしは、山のような課題を何とか終わらせにかかるのだった。
「……よし、みんな寝たか」
夜になり、わたしは親が寝るまで狸寝入りをしていた。
だって、空は静かに楽しみたいもん。
そーっと自分の部屋に行き、電気を付けずに窓際の机へと登る。
「うんしょ……っと」
そのまま窓を開け放ち、窓枠に座った。
夜風が気持ちいいな、なんて思いながらぱっと上を見上げると。
「うおお、破壊力やば……！」
語彙力なんて概念は、一瞬で吹き飛んだ。
細くてブローチみたいな三日月に、光を放つ数個の星。
少し目を慣らしていると、すぐにたくさんの星が見えてくる。
「うーんと、あれが北斗七星でしょ。それであれが……」
ふと、またお姉ちゃんのことを思い出した。
夜になってからこっそり家を抜け出して、丘に登って。
ごろんと草むらに寝転んだまま、二人で夢を語る。
そんな楽しかった日々を思い出し、不思議と頬が緩んだ。
……頬が緩むだけには、傷が癒えたんだな。
そのまましばらく眺めてから、ひっそりと布団に戻る。
出会ったときのことや別れたときのことを思い出すのは、まだ辛いけど。
それさえも笑って思い出せるくらい、何気ない日々が傷を癒してくれることを願って目を閉じた。
時間がゆっくりと流れる。
今日が、終わっていく。
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ねこる。 - えるさん» コメントありがとうございます！わたしの小説で心が透明になるだなんて嬉しい限りです…。もっと色々な表現ができるよう頑張ります！ (2021年10月26日 7時) (
レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - まめふなさん» ありがとうございます！レス遅れてすみません…。お話素敵って言ってもらえて嬉しいです！頑張ってラストまで書きます！ (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
える - なんか単純に綺麗って言葉が出てきました。空の美しい描写、主人公さんたちの感情表現の書き方が綺麗だと思いました。このお話を読んでる間は心が透明になってる感じでした。作者様の書き方尊敬致します。 (2021年10月17日 7時) (レス) @page27 id: cbb903ca6b (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - 丙ののののさん» コメントありがとうございます！空の描写はめちゃめちゃ時間かけたので、そう言ってもらえると嬉しいです…。今後も感激してもらえるよう頑張ります！ (2021年8月16日 8時) (レス) id: 035a026afe (このIDを非表示/違反報告)
丙のののの(プロフ) - 1話目を読み終えたところなのですが…これは…空の描写が美しすぎますね…！くどくないのに美しい情景が伝わる描写…占ツクで初めて見つけました。感激！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 4482ed7f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねこる。 | 作成日時：2020年6月5日 8時
