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頭をポンポンと撫でられると
彼のぬくもりは、そこにはもう無かった。
彼は脱ぎ捨てた背広を 回収し、
さっさと脱衣所に向かっていたのだ。

漂いかけた甘い雰囲気も、突然の「シャワー浴びてくる。」発言で掻き消された。どうも今日は汗を沢山かいたとの事。

“ その先 ” をちょっとでも期待した自分が
何故か恥ずかしくなる。




そう..

降谷Aは、すれ違っていた頃とは
全く別の悩みを1人で抱え込んでいたのだ。



「見せれる訳無いよ...こんなの。」

テーブルに放置されていた自身の携帯を手に取り
ネットの検索履歴を開く。




― レス、レス新婚、寂しい、妊活 ―




etc...

たまりにたまった検索履歴。
とても新婚の者とは思えない内容。
同じ様なワードを検索する日々。
そしてこの対照的なワードが、悩みの種だ。







分かってる...

ちゃんと伝えない限り、この悩みは解消
されない事くらい。
けれど、これがまた切り出せないのだ。

とりあえず、こんなの誰かに見られたりでも
したら恥ずかしくて堪らない。
いや...物凄く悲しい...の方がしっくり来る。



「消そ...」


彼に見られまいと、さっさと消去した。
こんな事を日々考えるものだから、
仕事にも中々身が入らない。


彼はきっと仕事で疲れているんだ――

そう無理にでも自分に言い聞かせた。
あれっ?
でも、トリプルフェイス時代の方が求められて
いたような...


「あー、もう!だめだめ!」


ブンブンと頭を震わせながら、急いで食事の
準備に取り掛かった。


折角早く帰宅してくれたのに、
こんな暗い顔見せたら駄目じゃない!





..






「れーくん、今日はお酒飲む?」

彼が上がって来たタイミングを見計らって、
脱衣所にひょっこりと顔を覗かせる。


「Aか..」


肌けた上半身をしっかりとタオルで拭く姿
に思わずドキリとした。
彼の鍛え抜かれた雄々しい肉体美は
いつ見てもうっとりするから。



「いいね、久しぶりに飲みたい。」

「じゃあビール?もう少しだけ待っててね。」

「あぁ、Aが作ってくれるのか、楽しみだな。」



にこにこしながら、嬉しそうに答える零君。


「それなら、今の内に片付けをやっておくよ。悪いが、出来たら教えてくれないか?」

「うん、有難う!零君。」


脱衣所を後にしようとすると、
何故か行く手を阻む彼。


「Aっ..」

「なぁに?」


急に腰を掴まれ、彼の方へ突然抱き寄せられた。
とんっ、と鼻先が彼の胸元に触れる。

*→←*



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天然石 - 続きみたいです更新してほしいです (2023年1月10日 23時) (レス) @page26 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 続きが読みたいです (2022年8月4日 7時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
forevermemory1(プロフ) - お久しぶりです。体調に気を付けて更新してくださいね! (2019年12月14日 12時) (レス) id: 66905377fd (このIDを非表示/違反報告)
漬物小屋の住人 - 大好きです!!!!!いつまでも待ちます(^○^) (2019年12月14日 9時) (レス) id: 9b45cc3ea2 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 曇天に笑うさん、レイさん。貴重なご意見を頂き有り難う御座います。作品の事に関しては、ユーザー様が読む自由がある様に、書き手側も然り。書く内容も更新頻度も誠に勝手ながら私の自由な裁量により判断させて頂きたいと思います。 (2019年12月10日 6時) (レス) id: 1b0c412716 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ポポロン | 作成日時:2019年6月15日 12時

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