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俺はかなりまずい質問でも
してしまったのかもしれない。
しまったと、俯いた視線の先には、
グラスを掴む彼女の細い指。
その左薬指には、キラキラと小さな輝きを放つ
物が目にとまる。
結婚指輪か――
つい見入っていると、Aさんと目が合う。
「とても素敵な指輪ですね。Aさんにぴったりだ。」
心からそう思った。あの降谷さんだ。
きっとこだわりが...
「あっ、コレ?私と零君の指輪を重ねるとハートの形になるんだよ。」
ほらね?
やっぱりこだわってるじゃないか。
淡いピンクダイヤモンドが埋め込まれたソレを
そっと撫でながら教えてくれた。
「...でも..」
「でも??」
「零君、指輪つけてくれないの。お仕事だから仕方..ないよね。」
「あぁ..成る程。降谷さんの立場上、確かに仕方が無いかもしれません。けど、つけないイコールそれが降谷さんの気持ちじゃない筈ですよ。」
「う、うん..」
返事はするものの、何処か寂し気なAさん。
「あ、あのね、新一君。私が今悩んでる事なんだけど..」
「は、はい。」
緊張しながらも、Aさんをしっかりと見据える。
彼女は暑いのか、長い髪の毛を横に流そうと髪を
両手で掴む。こういう女性の仕草は、正直そそられる。そして、ある物が俺の視界に入った。
えっ...
おいおい、まじか...
「零君の事なんだけれど...私に魅力が無いのが原因かも。」
「ブッ!!!ゲホゲホッ..」
「し、新一君っ!大丈夫!?」
とんだ陳腐な事を言うものだから、これが吹き出さずにいられるか。
「Aさんっ!」
ほんの一瞬見えた、赤い印。
かなり鮮明だ。痛くないのだろうか?
それに、見えるか見えないかのギリギリのライン。
これが大人の男女がやる事か..
Aは俺の女だ――
降谷さんがまるで見張っているようだ。
“ Aに手出しは許さない ”
と言う意志を感じる。
俺はぶるっと身震いし、彼女にそっと教えた。
「熱烈なキスマークですね。」と。
「えぇっ!!」
手鏡を取り出し慌てて確認するも、上手く見れないようだ。
「それにAさん、それは杞憂ですよ。貴方は間違い無く愛されてますよ。自信を持って?」
「新一君、で、でもっ..」
「Aお姉さん...目に映ったものだけが、
それが真実だとは限らないんですよ。」
いつぞやのコナンのくさいセリフ。
Aさんは、まだ憶えてくれているだろうか?
俺がコナンだと知らないAさん。
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天然石 - 続きみたいです更新してほしいです (2023年1月10日 23時) (レス) @page26 id: 9e1c69280d (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 続きが読みたいです (2022年8月4日 7時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
forevermemory1(プロフ) - お久しぶりです。体調に気を付けて更新してくださいね! (2019年12月14日 12時) (レス) id: 66905377fd (このIDを非表示/違反報告)
漬物小屋の住人 - 大好きです!!!!!いつまでも待ちます(^○^) (2019年12月14日 9時) (レス) id: 9b45cc3ea2 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 曇天に笑うさん、レイさん。貴重なご意見を頂き有り難う御座います。作品の事に関しては、ユーザー様が読む自由がある様に、書き手側も然り。書く内容も更新頻度も誠に勝手ながら私の自由な裁量により判断させて頂きたいと思います。 (2019年12月10日 6時) (レス) id: 1b0c412716 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポポロン | 作成日時:2019年6月15日 12時