Hôpital ページ5
..
気が気じゃなかった。
“ 今..Aの側を離れてはならない。 ”
何故かは分からないが、頭の中で
誰かが俺にそう警告していた。
昔の..君は何も言わなくても静かに..
いつだって俺の側にいてくれた。
けれど今の君は、目を離すとすぐに
飛んで行ってしまいそうだったから。
俺の元ではなく..
別の何処かへ――
また..昔の様に鳥籠にでもいれるか?
ひっそり愛でながら囲うように..
駄目だ、そんなのまた同じ事の繰り返しではないか。
静かに眠るAの姿をこの目に焼き付け
なんとか戸を閉めた。
幸せな夢でも見ていたのだろうか?
あの子が..きっといたに違いない。
様々な憶測が飛び交う。
..
後ろ髪を引かれる思いで退室すると、
待合室にいた筈の風見が、通路の脇で待機していたのだ。俺を待ち構えていたかのように。
「降谷さん..」
もう限界だったのだろう。
携帯を片手に俺に歩み寄る。
言われなくとも分かるさ。
連絡が取れない俺に変わって、彼に連絡が入って
苦慮していた事くらい。
「あぁ、戻るか。待たせてすまなかった。」
淡いオレンジ色の照明が実にあたたかく映った。
遅い時間帯ではあったが、見舞いに来ていた者と別れを告げている光景が目にとまる。明るく笑う男女。手を振っている女性は隠しきれない程の大きなお腹。
産婦人科病棟ならではの優しい雰囲気が
今の俺には凶器となり、心苦しかったのだ。
息が詰まりそうなまでに..
ごめんな、A..
君もきっと..
同じ思いだった筈――
そんな柔らかな雰囲気の通路を、場違いなスーツ姿の男2人が殺伐と通り抜ける。
「..それよりAさんは?Aさんは大丈夫でしたか!?」
「君にも大変な心配と迷惑を掛けてしまったな...Aとは少しだけ話して、今は眠っているよ。」
「そうですか..良かった。」
ほっとする様な表情を浮かべた風見は、
握りしめていた携帯をポケットにしまう。
「...で、早急に対処が必要な件は?」
「実はですね、動きがあった件が...」
..
戻って来たのだ。
Aが倒れると言う、非現実の世界から
いつもの多忙な..自分の世界に。
トラブルは待ってくれない。
次から次に飛び込んで来る、殺人的かつ流動的な
スケジュール。
Aの側に、少しでもいてやりたい..
絶対来ると約束..自分からしたのに、
次はいつ?
ここに来れるだろうか?
そんな俺に..
Aは今度こそ離れて行くかもしれない――
799人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - 良かったです。すれ違いが凄かったけど最後は結婚出来て良かった! (2022年8月4日 6時) (レス) @page49 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - salomeさん» こんにちは!続編のご希望頂きまして有難う御座います(^^)ゆっくりではありますが、只今準備させて頂いてます♪新作と続編、一旦同時にリリースしたいと思っております(*^ω^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 華花。さん» 初めまして!誤字脱字などお見苦しい点など多々あったにも関わらず、その様に仰って頂き嬉しい限りです(^^)やっぱり自分の好みは中々変えれず、新作も同じ様な雰囲気の作品かもですが宜しくお願い致します(*^o^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - 星の桜さん» 有難う御座います!最高と言って頂けてとても嬉しいです(^^)短編もご希望頂いて俄然創作意欲が湧きます!只今準備中なのでもう少々お待ち下さいませ(*^o^*) (2019年6月10日 9時) (レス) id: 79673368f7 (このIDを非表示/違反報告)
salome(プロフ) - 完結おめでとうございます出来たら出産の後の2人目の子育てやハロが降谷家に来た話とがいっぱい書いてほしいです (2019年6月6日 13時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ポポロン | 作成日時:2019年4月14日 4時