惜春のアディクトリップ ページ2
――いつからだろうか？
四季折々の豊かな自然の恵みを享受出来なくなったのは。通勤途中に整然と立ち並ぶ年季が入った枝ぶりの木々達。盛りの時期なら、遠目からでもこれらが何であるか一目で分かる。春の穏やかな陽気に乗せられ、優雅に舞う花弁達。ほんの少し前迄は、枝の隅々に溢れんばかりの薄紅色が華やぎそれらが舞い、そして散り行く様は道行く人々を魅了した。
しかし、Aは違った。春のお裾分けでもある花弁が自身のスーツにどういう訳か一枚だけ貼り付いていた時も、Aはそれを愛でる気持ちより煩わしさの方が優った。本当に...いつからだろうか。こんな人間に成り下がってしまったのは。
...いや、気づけなかったのだ。
惜春の候に心地良く想いを馳せる事も、そんな美しさに感性を揺さぶられる事無く、ただ無心で職場と自宅を往復する日々。少ない睡眠時間と課せられる業務。そしてやり場の見つからない..あの人への恋心。Aの瞳には四季の移り変わりを鮮やかに映す事なく、必死でその厄介な気持ちに蓋をし、考えぬ様に模索していた。
けれどそんな状況下に置いても、何故か緩やかな春の陽気だけは、心地良く響く。寒くも無く暑い訳でも無い。時折り突き抜ける生ぬるい風がなんとも好きだった。白黒ハッキリせず、気怠く、何かを彷彿させる期待感。今の自身の持て余す感情にやけに合っている気がしたのだ。
あぁ..このぬるさが..丁度いい――
境界線が曖昧なあの男、降谷零のよう。
そんな彼が “ あんな事 ” をするなんて、誰が想像出来ただろうか？
「あっ...もうこんな時間！」
PCのディスプレイにべったりと貼り付いていた視線を自身の腕時計に這わせた。まだ日は落ちてないが、
世の子供達がそろそろ自宅へと帰る時間帯だ。
以前佐々木に買い出しを頼まれ、あれから早一週間経過しようとしている。いい加減に依頼された物品を調達せねばと思っていたのだ。今日はまさに仕事を抜けるには最良の日。
何故って...やるべき業務は終わらせたし、帰宅するに障害が何も無いのだ。気を使わねばならない新人も上司もこのフロアには今は居ない。自由の身だ。今日行かずして、いつ行くと言うのだ。
「...あれっ、降谷さんは？」
「あぁ、今日はもう定時で上がって帰宅されてるぞ。」
そんな訳ある筈無い。Aの耳に筒抜けなのは、
室内の喧騒に混ざる職員同士の会話。片手に収まっている書類を見れば、降谷に何かしらの承認を貰いたかったのだろう。
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翡翠 - 頑張ってね( ・`ω・´) (2020年6月25日 16時) (
レス) id: 724d0f98c3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんちゃん(プロフ) - 新一が、コナンの時同様に、安室さんと接触していると言う事は、怪しい、イコール、組織の残党？か、何か事件？みたいに、盗聴器発信器を付ける癖がある。多分懲りずに夢主に絡んでききまくり、尋問誘導しまくるね (2020年5月14日 7時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
dear(プロフ) - ポポロンさん» 再度すみません。え、ほんとですか！こちらこそ、もったいないお言葉ありがとうございます！引き続きお話を楽しみさせていただきますね！ (2020年1月25日 16時) (レス) id: 5aa04aa1e9 (このIDを非表示/違反報告)
ポポロン(プロフ) - dearさん» はじめまして！じ、実はわたくし『彼氏と本命が再会したようです』のファンなのです！ま、まさかdearさんからコメント頂けるとは嬉しい限りです(^ ^)更新頑張ります！ (2020年1月17日 18時) (レス) id: 1b0c412716 (このIDを非表示/違反報告)
dear(プロフ) - 初コメ失礼します、続編おめでとうございますー！これからの展開もすごい楽しみです。応援してます！ (2020年1月12日 14時) (レス) id: 734805a92b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロン | 作成日時：2020年1月11日 3時
