＊ ページ11
相変わらずFBIに対して悪態をつく降谷だが、
昔と異なりその本心はそうでも無かった。
「詳細はこのメールを転送でもしておくよ。
悪いが、後で目を通しておいてくれ。」
「は、はい。」
肩肘つきながら自身の頬に添えられていた手は
今は離れ、空を切る。
「んん...」
腕をピンと真っ直ぐに伸ばしながら、背筋を正す。
ジャケットの中から大きく覗かせた真っ白なワイシャツの袖には、シンプルなデザインのカフスボタンが小さな光を放っていた。シワの無いスーツ、汚れの無い真っ白な襟袖、そしてさりげないお洒落。
ルネサンス期の壮麗な彫刻の様な美貌を持つ彼には、正に完璧な装備と言えよう。
降谷君..
本当は何を言いたかったの？
きっと降谷がAに頼みたかったのはこれでは無い筈。Aは、そんな懸念を感じつつもここを後にしようと決めた。何故ならば、マグカップの側にずっとあるお見合い写真が、鋭く尖った針でいつまでも刺し続けていたから。Aの胸の奥深くを。
それは、息を吐くのが難しい程の痛み――
降谷零は、いつまで固辞し続けるのだろうか。
「あっ、カップ良かったら下げておきますよ。」
悟られたくない、悟られてはならない。
いつものへらへらした表情を取り繕う。
「すまないな。」
さっと差し出されるピンク色のマグカップ。
Aが持ちやすい様に、取っ手の部分が
向けられていた。
「A..有難う、美味しかったよ。」
「い、いえ。また入れますから！」
「そうしてくれると、助かるよ。」
何気ない会話に、綺麗に空になったマグカップ。
Aは何故か胸を痛めながらも安心していた。
その不安は確かに霧散出来た訳では無いが
勝手に確信していたのだ。皆が口を揃えて噂する様に、彼がこの引く手数多なお見合いを受けるなんて
絶対にあり得ないと。
Aが退室すると、降谷は引き出しを開けて書類を数枚取り出した。それらをめくりながら、分かりやすく顔を歪める。
「ごめん...A。」
その書類をひっ掴み、側に設置しているシュレッダーの口に突っ込もうとするも、
「上司として、僕は最低だな。
いや、男としてか...」
降谷はシュレッダーするのを思いとどまり、またそれらを引き出しの中に戻す。それらとは、降谷を悩ませる書類数枚の事。
ガコンッ――
何かが倒れる音。
「降谷さんっ！？」
不審な音に反応し、突然入って来たのは風見。
「あーもう、駄目じゃないですか。」
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ぷぅ(プロフ) - うわぁ、新人に降谷さんが好きですって言えなくて新人の恋愛に協力して下さいって言われたら私だったらこう言ったら｢何でですか？｣って理由を聞かれるだろうけど｢ごめん、無理｣って言っちゃうだろうなぁ(ノдヽ) (2019年11月7日 12時) (
レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - うわっめっちゃいい所で！更新待ってます！大好きです！ (2019年11月5日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - ヒロインが降谷さんの好きな人って分かったら婚約者(振られてるから元婚約者になるのかな？)きれいな顔をしておいて降谷さんにヒロインの事を幻滅させるような何かひどいいじめみたいな事して来そうで怖いから近づきたくない( ´-ω-) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
ぷぅ(プロフ) - うわぁ、好きな人が婚約者と話してる所を見るの嫌だし、その間に入るのも嫌だなぁ( T∀T)私なら仕事があるからとかって言って逃げちゃう( ＞Д＜；)でも降谷さんはヒロインを呼んでどうするんだろう？( ´△｀) (2019年10月14日 12時) (レス) id: b4f5c0261e (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - とっても素敵な文章と内容で、時間を忘れてずっと読んでいました！凄く続きが気になります！応援しています！ (2019年9月8日 9時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポポロン | 作成日時：2019年6月15日 12時
