5.切 ページ5
( 藤井 side. )
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いざ彼女の口からその言葉を聞くと、少し胸が痛んだ
全て忘れさせることが最善、上書きが最善
わかっているけど、2人の幸せな様子が頭にこびりついて離れない
だからせめて、せめて幸せな思い出だけでも覚えていて欲しかった
…………良かったんかなぁ?
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少しAちゃんの様子が気になって病棟の方に足を進める
この病院は個室の病室しかない
彼女の部屋の戸をノックする
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「……Aちゃーん?入るで?」
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返事が聞こえないので少し不安になりながら戸を開ければベッドの上で三角座りして肩を震わせている女の子
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『……っ、?流星、くん、っ?』
「っ、!泣いとるの、?!」
『え、へへ…午前じゃ、ないのにね』
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焦って、駆け寄って、目の前の無理して笑う女の子を抱きしめる
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『……は、あの、流星くん……?』
「…………あのさ、自然な笑顔出るまでは、泣いてていいし、いつもみたいに真顔で毒吐いててええから、」
『……うん。ありがとう』
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少し、目を細めて口角を上げこちらを見るAちゃん……ちょっと、笑った?
少し驚きながらAちゃんの顔を見つめていれば突然、『あっ、』と声を出す目の前の子
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『…………午前じゃないのに、涙が、出た……?』
君が窓を眺めながら呟いた言葉に、息が詰まった
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少し、少しずつ前に進めてるのかもしれない
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1年経って、やっと光が見えてきた、君の未来
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『ねぇねぇ、雪、そろそろ降るかな?』
「今迄から考えてやけど、たーぶーん、二週間ぐらい経つと降ってると思うで」
『ほんと?ねぇ、雪遊びしよう?』
「子供みたいやなぁ。笑」
『えぇ、だって仕事も入院と同時にやめたし実質大人の皮被った子供みたいなものよ』
「ふふ、そうやね」
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少しずつ膨らむ俺のこの想いは、もう少し閉じ込めておこう、頑丈に、何重にも鍵をかけて。
土砂降りの君の人生に、虹がかかるまでは、我慢
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青いみかん(プロフ) - ★さん» 指摘ありがとうございますm(__)m訂正しました (2017年12月10日 11時) (レス) id: 07f408f476 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 11【こうなる事わかってくせに】→わかってるくせに では? (2017年12月6日 17時) (レス) id: 44661be576 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏. | 作成日時:2017年11月25日 21時