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『…阿部くん』
「羽田さんは今の俺の事何となくわかってるでしょ？」
恐らく、ヤクザとか極道とかそういった部類の人なんだと思っている。
だから、小学生の時に1人だったんだって今になって理解した。
『…うん』
「あまり君をこっちの世界に引き込みたくないんだ…連れてきておいてなんだけど」
『…私ね。もう失う物なんてなんもないんだ』
「うん。知ってる…君の義母の情報見てる時に羽田さんの事も調べさせてもらったから」
『…私阿部くんのそばに居てみたいって言ったら優柔不断かな？』
「その意味わかってるの？」
『どうだろう。深くはわかってないと思う。でも、今は私は阿部くんのそばにいたいって思ってるの…ダメかな？』
「…もうどうなっても知らないよ俺は」
グッと肩を押されたと思えばそのまま、ふわっと背中に布団の柔らかさを感じた。
「俺らはもう大人だから自分の意思で決められるんだ。自分が進み道を」
『…阿部くん』
「亮平。俺の事は亮平って呼んでA」
『…っ。亮平』
「A」
お互いの名前を呼び合うと自然と重なるお互いの唇そして、触れ合う肌。
さっきまでどん底だった私の人生は、さらにどん底に落ちて行くのかそれとも、幸せな方向に向かっていくのかは今の私には分からない。
けれど、今は凄く幸せでこの人のそばを離れたくない。
ただそれだけを考えていた。
───
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作者名：ぽぽ
| 作成日時：2022年11月30日 19時
