若頭と同級生 (ページ16)

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「とりあえずご飯食べようか」

『うん』

久しぶりにこんな美味しいご飯を食べたと思いながら、これから私はどうしたらいいのかと少し考えてしまう。

「…Aは義母の借金一生懸命返してたんだから、少しくらいわがまま言ってもいいんだよ。俺に沢山甘えて。Aのわがままならなんでも聞くよ。俺が出来ることなら何でもしてあげるから」

『…私は亮平に何も返せない』

「ううん。俺はAが欲しいだけ。だから見返りなんていらない。俺のそばにいてくれたら幸せなんだ」

『どうしてそんなに好きでいてくれるの私の事』

「あの時から10年以上忘れられなかったから。Aの事が。こうやって再会してもう君を離したくないんだ…俺のわがままをAに押し付けてる。だから、Aが罪悪感を抱く必要なんてなんにもないんだよ」

真っ直ぐ私を見つめる目は嘘を言っているようには見えなくて、阿部亮平と言う1人の男を何年も縛り付けていたんだ私は無意識のうちに。

『…亮平』

「なに？」

『…これからもずっとずっと私のことを好きでいてくれる？愛してくれる？』

「もちろん。A以外の女なんていらないよ」

『…ありがとう。私亮平に甘えようかな。亮平に沢山会いたいし私も』

顔を上げるとほっとしたように笑い、私の手を握る。

「すぐに準備する。それからあの家にある荷物Aの物全部運ぶから必要なものあったら言って忘れ物ないようにしたいから」

『ありがとう亮平』

どうして、昨日会ったばかりの小学生の同級生と愛を誓えるのだろうか。

私にも分からないけれど、本能が亮平の傍にいろって言ってる気がしてるから。