loss of memory 阿部恋シリーズ (ページ17)

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17 阿部side ページ17

山口｢は？阿部あんた本気で言ってんの？｣

｢うん、本気だよ｣

山口｢馬鹿じゃないの？あんた頭いいんでしょ？なんにも分からなくなっちゃったんだよAちゃんは。不安なのになんであんたがそばにいてあげないのよ！｣

持っていた衣装を乱暴にテーブルに置くと、俺の胸ぐらをグッと掴む。

深澤｢うわ！ちょ、ちょっと落ち着け…山口さん落ち着いて｣

山口｢あんたらもあんたらよ！何馬鹿なこと考えてる阿部を止めないの？｣

佐久間｢いや、阿部ちゃんが決めたことだし俺らは｣

山口｢は？！阿部が決めたこと？そんなの知らないわよ！Aちゃんに1度も会わないで話さないで勝手に決めてんのよ。Aちゃんが来ないでって言ったわけ？記憶がなくなってもAちゃんが阿部の事探してたらどうするの？｣

｢そんなわけ…｣

山口｢そんなわけなかったとしても、阿部がそばにいてあげなきゃいけないの。誰よりもAちゃんの事そばで支えてたんでしょ？あんたが逃げたら、Aちゃん迷子になっちゃうんだよ。Aちゃんの手を握ってちゃんと道教えてあげないと…誰かがじゃなくって阿部が｣

真っ直ぐ俺の目を見て訴えられる。

すると、誰かのスマホの着信音が部屋に鳴り響く。

山口｢私だ…。はい、うん。今衣装回収したからこれからそっち持ってく。うん。気をつけてねそれじゃ｣

短い通話を終えて置いた衣装を手に持ち扉に向かう。

山口｢…辛いかもしれないけどしっかりしなさいよ。私は、阿部とAちゃんがまた笑ってる姿見たいの。それじゃ｣

パタンっと扉が閉まると静まり返る部屋。