梅 と 松【梅原裕一郎】

関係性 ページ4

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日付けが変わろうとしてた頃に電話が来た。梅ちゃんだった。今だけ収録が終わって帰ってるところだけど、明日の現場が私ん家の方が近いから泊まらせてっていう連絡。

私たちはたまにこうしてお互いの家に泊まったりする。決して付き合ってる訳じゃないから、そういうことはしないけど、お風呂上がりにバスタオル1枚で出てきても何とも思わない関係性ではある。

起きて待ってたらインターホンが鳴って、オートロックを解除して玄関で待った。そうしたらまたインターホンが鳴って扉を開けてあげた。

『おつかれ』
「お疲れ。確認せずに開けたでしょ、危ない」
『梅って分かってたから大丈夫なの』
「俺じゃなかったらどうすんの」
『うーんめっちゃ大っきい声出す』
「アホだな」

まるで仕事終わりの旦那とか彼氏みたいに、当たり前に部屋に入ってソファーに座る。あまりお酒が得意ではないからお茶を出してあげて私も隣に座った。

『長いことかかったんだね』
「なんかマイクがトラブったっぽくて」
『え〜大変だねそれは。明日早いの？』
「昼前から。まぁいつも通りに起きれば間に合う」
『じゃあ起こしてあげるね。私9時からだから』
「早いな。出る時に起こして」
『うん、分かった。お風呂入れるから入ってきていいよ』
「ありがとう」

お茶を飲んで、タンスに入ってるお泊まりの時に着てる服を取り出してお風呂へ向かった彼を確認してベッドに入った。

そのまま寝てたみたいで、目覚ましをかけた時間に起きれた私は、起こさないように色々準備をした。
目が覚めて隣に寝てた梅ちゃんに少しびっくりした。寝顔も相変わらず綺麗ですね。

『梅ちゃん、起きて。私行ってくるからね』
「ん…もう行くの」
『うん。仕事だからね。鍵置いとくからポストにでも入れといて』
「分かった…待って…玄関まで行く」

ゆっくり起き上がって玄関まで来てくれた。お見送りしてくれて、今日はなんだか順調に収録を進められる気がして嬉しかった。

彼氏でも旦那でもない男にドキドキして、家に泊めたり泊まらせてもらったり、この関係性が普通ではないことは自覚しているけど依存してしまっているから元には戻れないだろう。

何年か前、同じ賞をとる前に共演して、最初はなんとも思ってなかったけど共通の同業者であるこうちゃんをきっかけに関わるようになっていった。


彼は私のことをどう想っているのだろうか。
そんなことを聞けばこの関係性が終わってしまいそうで怖い。

引っ張りだこ声優→←ひょろっと男子

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