梅 と 松【梅原裕一郎】

会いたい ページ17

療養のお話なので、読みたくない方はブラウザバックお願い致します。
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桜が散って緑の葉に移ろいでいた頃、病気になって入院した。休養を発表してからたくさんの人から連絡が来て迷惑と心配をかけたなと思ってリハビリに励んだ。
Aは泣きながら電話をかけてくる事が多くて、一緒にやる予定だったアニメも代役が決まって収録することになった。

話す度に泣いてるから実際会ったら倒れると思ったんだろう。『お見舞い行きたい』とかは言い出さなかった。

やっと退院出来て戻ってきた自宅は入院する前と変わらずだった。当たり前だけど。ただその中にAの服とかアクセサリーが残っていた。

復帰する発表をして一番に連絡が来たのはもちろんAだった。また泣いていた。この三ヶ月程の間、どれだけ心配かけて泣かせてしまったんだろう。

連絡してくれる知り合いから聞く話はほとんどAが元気無さすぎて見てて心配になるとか、Aをご飯に誘っても行けないっていうものだった。

さすがに退院当日は家にいないといけないと思って早めに休んだけど、会いたい気持ちは募るばかりだった。

ようやくアフレコの収録とかラジオに参加出来るようになったけどAとスケジュールが合わずで、どうにかなりそうだった。

お互い、会おうとは言いたいのに言えなくて、電話と文字のやり取りだけなんてもう限界だった。
今日はAん家に行こうと思って、いつもと違う方向を向いて帰った。

やっと着いてインターホンを鳴らしたけど反応がない。まだ帰ってないのか。でも夜遅いし帰ってないのはおかしい。じゃあ誰かと飯でも行ってるのか。
その可能性は考えにくい。

家いないの？と連絡しようとしたけどさすがに気持ち悪いかと思って諦めて帰った。

自分の家の前まで戻ってきて鍵を探してたら前から、うめ…？と声がした。
聞き馴染みのあるその声に前を向いたら、目に涙を溜めたAが立っていて、ゆっくり歩いて抱き着いてきた。

『うめ…っ！馬鹿馬鹿！なんで帰ってないの！』
「なんでってそっちこそなんで帰ってないんだよ」
『だって会いたかったんだもん…』
「なんだそれ」
『ほんとに心配したんだよ…！』
「ごめん。迷惑かけて」
『迷惑じゃないけど、心配した！』

わんわん泣いて泣き止まないAをどうにかして泣き止ませて、とりあえず部屋に入れた。

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