unexpected *１１７ ページ32
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目の前に起こっていることが、事実だと分かったのは、いつだったか。
私を無視して、私より遠い所にいる人間へ手を伸ばし、捕まえようと躍起になる巨人も。
逃げ惑う人間も。
逃げられないーー体が、もう動かない人間も。
彼らの断末魔も。
ぽつりと残された私も。
紛れもない、今、現実に起こっている事実だと分かったのは、いつ？
ーーまるで、…まるでも何も、その通り。
仲間外れにされたようだった。
どう足掻いても、私は、彼らの織り成す舞台に、入り込めなかった。
目の前で繰り広げられる惨状を、観客席で見ているだけ。
飛び出た内臓や飛散した体液などを残して、巨人が大陸の内部へと去っていく。
もちろん私なんかに、見向きもしないで。
あ「……」
どれほど、そうしていただろう。
徐々に暗くなっていく空や冷たくなっていく風を感じて、時間が経ったことを知った。
そして、急速に思考回路が動き出して。
あ「…ど、ぅして……？」
小さ過ぎて掠れた声。
答えてくれる人は誰ひとりとして居ない。
みんな、しんでしまった。
あ「………んで。なんで」
わたしは、いきている。
震える手のひらを、意味もなく見つめた。
汚れてはいても、流血なんてどこからもしていない、皮膚。
さあっ、と。
冷たい夜風が吹いた。
その瞬間、さっきまでは感じなかった鉄の臭いが、鼻腔を満たす。
私の血じゃない。
そんなわけ、ない。
あ「…………」
もうどこにも居ないーー強いて言えば、巨人の腹の中に収まっている彼らの叫びが、不意に蘇った。
逃げても逃げても、結局は捕らえられて、口の中に運ばれていく。
その、わずか数秒ほどの間に、全身から、死を拒む絶叫を発しても。
みんな、みんな、みーんな。
あ「………………」
どうして私は、ああならなかった？
あ「………………………」
答えなんて、もう、出ていた。
とうとう私は、人間であることをやめてしまったようだ。
あ「…」
吸う空気が鉛のように感じて。
瞬きの一つ、することすら、放棄したくなるほどの倦怠感が、私を襲った。
何も、動きたくなくて。
何も、考えたくなかった。
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柚音(プロフ) - サンゴさん» お返事遅くなってすみません！ありがとうございます！ゆっくりとですが完結まで書き終えられるように頑張ります！コメントありがとうございました！！ (2019年1月20日 3時) (
レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 続きめっちゃ気になりますっ！！ (2019年1月17日 22時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 話が深くて読んでいて面白いです！ (2018年11月19日 18時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - 赤間利衣さん» あけましておめでとうございます！閲覧頂きありがとうございます！更新頑張ります！ (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - ちさきさん» あけましておめでとうございます！コメントありがとうございます、更新頑張ります！ (2018年1月2日 1時) (レス) id: ba4520d13c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚音
| 作成日時：2014年5月20日 19時
