其の弐佰参拾 無限列車編27 ページ30
「っ!!」
弾かれたようにして桜は覚醒した。
呼吸が荒いなか、夢の中で斬った頚に手を当てて確認する。
(生きてる……!)
手のひらに血はついていない。
現実ではなにも起きていなかったことにひどく安堵した。
(ありがとうございます、冨岡さん)
ずっと夢の中で導いてくれていたのはあなただったんですね。
何もかも忘れていた私を呼び戻してくれた。
あの夢の中にずっと居続けていたら、今頃どうなっていたのだろうと考えるだけでゾッとした。
「起きたか?すまない、起こす暇もなくてな」
「!」
青ざめた顔を上げると、背中越しにこちらを見る杏寿郎と目が合った。
気付けば、周りはウヨウヨと鬼の分身である触手のようなものに囲まれているではないか。
急いで日輪刀に手をかけた桜をその背中に庇うように杏寿郎が前に立つ。
「煉獄さん、これはいったい………」
「俺にもわからん!だが、うたた寝している間にこんな事態になっていようとは!!よもやよもやだ!柱として不甲斐なし!!穴があったら入りたい!!」
うたた寝どころかどっぷりとその夢にはまっていた自分を桜は恥じた。
まんまと血鬼術にはまって過去の記憶に
「!」
他のみんなはどうなったろう。
辺りを見回したけど、すでに誰の姿もない。
座席から立ち上がろうとした桜だが、轟音とその衝撃に尻餅をついてしまった。
その周辺の触手を撃破した杏寿郎が納刀しながら桜のもとに戻ってきた。
「桜、大丈夫か?」
「はい。炭治郎くんたちも大丈夫でしょうか?」
「俺が目を覚ました時、すでにその姿はなかった」
「無事ですよね?」
「おそらくな。この事態も竈門少年たちが何か起こしてくれたのかもしれない」
それならばいいのだけど。
心配に思っても姿が見えないのだから、そう信じるしかない。
「これから竈門少年らを探しに行く。その間、君には最後尾二両を守ってもらいたい。お願いできるか?」
「任せてください!」
「車内はこの状態だ。どこに頚があるかもわからない。桜も急所を探りながら戦ってくれ」
「はい!」
「…………」
気合いを入れ直し顔を引き締めた桜の顔を杏寿郎がジッと見つめる。
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桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» だいぶ放置ですみません!国家資格目指してるんですね。すごいです!私も陰ながら応援しています。もう、あまり需要もないかとは思いますが私はまだまだ鬼滅の刃が好きなのでボチボ頑張って更新していこうと思います。お時間あれば、また遊びにきてくださいね。 (2022年1月10日 11時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 資格取ろうと思っているんだな!俺も国家資格を取ろうと思っている!お互い!勉強!集中!煉獄杏寿郎だ! (2021年10月31日 20時) (レス) @page50 id: e9e5935c56 (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» レスと更新が遅くなって申し訳ありません(T ^ T)しばらくこのような状態が続くと思われます。忘れた頃に更新かもしれませんが、引き続き彼らの応援よろしくお願いします( ^∀^) (2021年10月31日 15時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
義勇と杏寿郎推し - 煉獄さん!頑張れ!俺、煉獄さんを応援します!煉獄さんは強い‥!俺は弱者じゃない!夢主さんもだ!勝手に決めつけるな!猗窩座…!!お前を絶対許さない!竈門炭治郎です!煉獄さん、夢主さん!頑張って下さい! (2021年10月10日 19時) (レス) @page46 id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
桜花(プロフ) - 義勇と杏寿郎推しさん» 全て言ってしまうとネタバレになってしまうので、あらかた伏せてになるのですが……^^;柱救済で物語を展開していきますので現役引退はありません!とだけ(^-^) (2021年10月4日 21時) (レス) id: 16cf354de0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜花 | 作成日時:2021年9月19日 10時