13 ページ13
いつからだっただろう。
あの人に素っ気ない態度を取ってから話すことが少なかったが、度々俺に話しかけるようになった。
暑くないか、寒くないか、喉が渇いていないか、体調はどうか。
ことある事に話しかけてきた。接近している感じはあったが、土足で人の心にズカズカと入ってくるような態度ではなかった。最初は無視をしていたものの、ささやかな優しさで少しずつ心を開いていけそうな気がした。この人なら…そう思えるようになるのも時間の問題だった。
とても寒い年末の日。今年は外ステージがあるため、俺達は外でリハをやっていた。できることなら早く終わらせてしまいたい。こんな寒い中ずっと居れるわけがない。
最近、俺の頭の中に居座っている彼女は、忙しなく動き回っていた。汗すらかいている。俺達はセブンティーンのステージの調整を終えたが、周りのスタッフさんはまだ仕事があるみたいだ。
ふと客席の方に目を向けると1枚誰のかわからないペディンが掛けてあるのが見えた。持ち主なんかすぐにわかった。今ペディンを着ない人なんかいないだろうし、着ていなかったら目立つ。彼女だった。慌ただしく走り回る彼女はペディンを着ていなかった。すぐに取りに来るだろうと思った俺はペディンを届けずに外のリハが終わるのを待っていた。スタッフ達が落ち着き始めた頃、あのペディンの持ち主である彼女はどうしたのか気になった。客席に戻ってみるとまだペディンが掛けてあった。そのペディンを持って、俺は彼女を探しに行った。
今頃寒くて凍えてるかもしれない。
そんなことを脳の片隅に置きながら探した。一周回ったが、見つからず、またあの席のところに戻ってきたようだった。
あの席の前で誰かがしゃがみこんだのが見えた。髪色ですぐにわかった。
持っていたペディンをぎゅっと握り直して彼女のそばに行ってペディンを肩にかけてあげると、これでもかってくらいに目を見開き、言葉を探していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 101人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SEVENTEEN」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷぅ(プロフ) - かなとさん» 失礼致しました(；；)外しました。これからは気をつけます(；；)ご指摘ありがとうございました。 (2019年4月13日 17時) (
レス) id: fc259b1187 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年4月13日 7時) (レス) id: a6e6d18aa3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぷぅ | 作成日時：2019年4月13日 1時
