Case90 ページ9
『え、え、あ、安室さん……止まらない…』
「……なんで君がそんなに驚くんだ…」
呆れたように息をついて、また私の涙を拭う。
「………セクハラだ、なんて言わないでくれよ」
『え、なん………うわっ』
『なんでそんなこと聞くんですか』、と言いかけた途端に、安室さん……いや、降谷さんは私の腕を引いた。
ポスン…と降谷さんに抱きしめられ、優しく背中を撫でられた。
するとまた、じわりじわりと涙が溢れて止まらない。
『………ふっ………ぐ…』
「寂しかったんだ」
『少しだけ…』
「ん」
こんなとき、
有希子さんがいれば、
優作さんがいれば、
新一がいれば、
お母さんがいればって、
『そう、思ってしまって……ダメです』
「………うん」
『…降谷さんが来てくれて、良かった………』
鼻をくすぐる彼の匂いは、とても安心する。
リズムよく叩かれる背中にぬくもりを感じ、また瞼が重くなる。
『ご迷惑、かけて……すみません…』
「そんなことはいい。
君はもっと、大人を頼るべきだ。
僕のことを、頼ってくれても構わないから」
『………はい…』
だんだんと重くなる瞼に逆らわず、
ゆっくりとその瞳を閉じた。
優しい香りにつつまれて、
とても、
気持ち良かった。
 ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄
 ̄
降谷side
「………風見か」
彼女が寝静まった後、
暗くなった室内で、自分の部下に電話をかけた。
「……そろそろ、本腰入れて探るぞ」
「"…六条Aですか"」
「………あぁ」
六条Aの父は死別、母は行方不明。
行方不明……というのがどうにも引っかかる。
(戸籍にも、痕跡はなかった)
だが、僕の勘が彼女の母親は生きていると言う。
なによりも気がかりなのが、
(………ベルモット)
ベルモットの反応が、どうにも気になって仕方がない。
(ベルモットの子供……という線が一番強い)
肌の色、目の色……。
この子は過去に、ハーフだと言った。
ならば父親は誰なのか。それも探らなければならない。
「なにかわかりしだい、すぐ連絡しろ。
こっちでも探る」
「"了解しました"」
チラリと彼女を見れば、
小さく寝息をたて、幼子のように眠っていた。
(例えこれが、彼女を傷つける結果になったとしても、)
いつかは知らねばならない真実だ。
彼女に何かあったときは
必ず。
そっと前髪を払い、その額に己の額を当てた。
「………守るよ」
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ユナ@前垢消えた(プロフ) - 最高すぎて一気読みしちゃったでし、、、、、更新待ってます!!!!!!! (6月25日 8時) (レス) @page26 id: 0fb864c8c1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかそ - 初めまして!面白くて2日で一気読みしちゃいました!!私のスマホ終わりって表示されてますけど嘘ですよね!?続きが気になりすぎてハゲそうです、、、!いつか続き見れたら嬉しいなぁ〜、、、!! (2023年4月11日 16時) (レス) @page26 id: 515339af0b (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 続きが気になります!体調を崩さずに! (2022年12月23日 0時) (レス) id: 8331d59edc (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 続きが気になり過ぎます!!続きが更新される日を心待ちにしています!! (2022年7月16日 3時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - ああああもう最高です。。。😭安室さんかっこいい。。。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page26 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年9月7日 17時