Case86 ページ5
「…」
『…』
「……」
『……?』
「…………………………………」
『……?………??…?』
たっぷり間をあけ、約20秒。
「き み は!!!!」
『へぶぅ』
ガシィッ!!と私の両頬をつかんだと思えば、それを今度は何度も引っ張る。
『いひゃい!いひゃいへふ!!』
「さっきから危機感を持てと言ってるだろう!?」
『いひゃひゃひゃひゃひゃ、いーー!!!』
引っ張られる私の頬はもはや伸縮するなにかなのではないか。
あれ、頬ってこんなに伸びるっけ。
それよりも痛い!!痛すぎる!!
『ひょりら』
「あ゛ぁ゛?」
ゴリラ、という単語がどうやら伝わったらしい。
うっそだろ、なんで伝わるんだよこわっ。
パッと手を離した降谷さんはまた大きくため息をついて、
それを横目に私は赤くなったであろう頬を大事に大事にさすった。
『ちょ、私の頬とれてないですよね。伸びてないですよね』
「…………赤くは、なってる」
少しだけ申し訳なさそうに眉を寄せて、今度は優しく私の頬に触れた。
「………気持ちは嬉しいが…、君も年頃の女の子なんだから……な?」
『…そうですけど、降谷さん、あまり眠れないじゃないですか』
「僕は元々ショートスリーパーだから平気。この生活にも慣れた。
だから、君がそこまで心配することでもない」
『…けど、』
それでも納得がいかず、食いついてしまう私は聞き分けの悪い女だろう。
彼が背負っているものを知ってしまえば、少しでも休んでもらいたくなる。
恩着せがましいか?
いらん世話か?
って考えたら否定ができない。
『う゛う゛う゛』
「なんていう顔するんだい…」
『………自分が何もできなさすぎて呆れてるんです』
「君って子は………その心だけで十分なのに」
「そうだなぁ……」
降谷さんはふと視線を下げ、
柔らかい笑みを浮かべる。
「……本当に疲れたとき、君の元へ来ようかな」
『え』
「その時は、おかえりって言ってくれるとすごく嬉しい」
「しばらく、言われたことがないから」と、眉を下げる彼は、どこか迷い子のように瞳を揺らした。
『い、言います!何回でも』
「ありがと」
それじゃあ、そろそろ行くよ
と、降谷さんはドアノブに手をかけた。
「戸締まりするんだよ?」
『ハイ。
あ、えと、降谷さん』
「ん?」
『………いってらっしゃい』
「…」
「…行ってきます」
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ユナ@前垢消えた(プロフ) - 最高すぎて一気読みしちゃったでし、、、、、更新待ってます!!!!!!! (6月25日 8時) (レス) @page26 id: 0fb864c8c1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかそ - 初めまして!面白くて2日で一気読みしちゃいました!!私のスマホ終わりって表示されてますけど嘘ですよね!?続きが気になりすぎてハゲそうです、、、!いつか続き見れたら嬉しいなぁ〜、、、!! (2023年4月11日 16時) (レス) @page26 id: 515339af0b (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 続きが気になります!体調を崩さずに! (2022年12月23日 0時) (レス) id: 8331d59edc (このIDを非表示/違反報告)
かるぴん(プロフ) - 続きが気になり過ぎます!!続きが更新される日を心待ちにしています!! (2022年7月16日 3時) (レス) @page26 id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - ああああもう最高です。。。😭安室さんかっこいい。。。 (2022年4月30日 8時) (レス) @page26 id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヤギとポン酢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時:2018年9月7日 17時