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パッと顔を輝かせ、思い出したようにセトはそう言った。
「…あっそ」
「でもセルフであんな痛かったのによく耐えたなあ。ラギー、来年頑張れよ」
「…ええ、安心してくださいっス。勝つっスから」
僕は、そう言ってたまらなく楽しそうに笑うラギーのことを、ほんの少し…羨ましい、と思った。彼に、次があることが、どうしようもなく羨ましかった。
「おい、セト」
「あ…レオナ先輩、約束は」
そうだった。セトの目的はそれだった。あんなハッタリまで使ってしまうくらい、セトにとっては大事なこと。
「ゴチャゴチャ言うな、教えてやる」
緊張が、その場に走った。寮生たちが心配そうにレオナを見つめるからだ。
レオナは彼らの様子に大きくため息をついた。そして、口を開く。
「…寮対抗マジフト大会の選手入場の時間帯、この場所だ」
セトは、息を呑んで次を待っていた。
が、その次の言葉が聞かされることはなかった。
「………それだけ、すか」
「そうだ。これだけあれば、Aがやってくれんだろ?」
「え、はぁ?」
ここにきて僕に話が振られた。しかも丸投げ。関わりたくないのに、最悪だ。
「今回の宿泊費は、それで完済にしてやる」
「…A、頼む」
「まあこれから学校っスからねぇ、頼むっス!」
…本当に、最悪だ。
レオナたちが学園に行ったあと、僕らは残っていた。セトの目的を、果たすために。
「……やれよ」
「待ってよ。ここ広いから、集中しないと正確に見れないんだ」
マジフト場の、全範囲を網羅するなんて無理だ。冗談でもなんでもなく、死ぬ。ブロットが決壊してしまうどころでは済まない。
「なあセト、魔法の気配が1番濃く残っているところを探してくれ」
「…わかった」
察しがいいから助かる。まあ、なんかヤバいんだろうなぁ程度なんだろうけど。
「ここら辺、だな」
やはり獣人族の勘はとてもいい。思っていたよりもずっとはやくに見つけてくれる。
セトに礼を言い、その場一帯に狙いをつける。集中し、イメージする。そして、唱える。
「……
少しずつ、灰色の人々が構成されていく。そうして、個人をかたどっていく。
現れたのは、レオナ・キングスカラー率いるサバナクローの寮生とリドル・ローズハートなど一部のハーツラビュル生。
……そして監督生、ユウ。それからグリム。
何があった。何が起きた。そして……監督生はなぜいるのか。
これらの問いの答えは、今から教えてくれる。
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しあ(プロフ) - 雪華さん» コメントありがとうございます。最近ですと呪術廻戦ですかね。 (2021年3月5日 21時) (レス) id: 46cd819be0 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 高評価しました!知ってるアニメは何ですか? (2021年3月5日 21時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しあ | 作成日時:2021年2月28日 20時