3 ページ3
No side
陰気な、という表現が痛いほど似合うその寮では、いつも通りの光景が繰り広げられていた。
「シルバー!食事のときまで寝るな!」
「ハッ、すまない」
「セベク、怒鳴ってばかりでは食事が進まぬぞ」
明るい緑の髪のセベクと呼ばれた青年は、彼よりも幼なそうな少年の一言で、子犬のように縮こまった。そして、一気に食事をかきこみはじめた。
夕食時とはいえ、霧がかかったままで外は暗く、時間の感覚が狂いそうだった。たしかにそれは、この寮のシンボルのひとつではあった。しかしそれを差し引いてもこの独特な雰囲気は、他者を排斥したがっているように見えた。
「遅い!まだ食べ終えて、」
「あーやっぱり。1年生だった」
そんな寮、ディアソムニアに、A・レイヴァースは帰ってきた。
「お主は…Aか!久しぶりじゃな」
「リリアさん、ただいま帰りました。元気でしたか?シルバーも」
そう言ってAは、銀髪の青年の方を見る。彼は頷いて肯定を示した。
「変わりないですよ」
「リリア様!こやつ一体何者ですか!」
1人ついていけてないセベクは、焦りからか、声を荒げた。
「そうか、セベクは知らなんだか。こいつはA・レイヴァース、4年生じゃ」
「え、えぇっ!」
レイヴァースと聞いて、驚かない茨の谷出身者はいない。セベクも例に漏れず、驚きの声を上げた。
「あ、あのレイヴァースですか!?」
「あぁ俺も初めて会ったときはおどろいた」
「しかしなぜツノが!若様くらいのはずなのに!」
眉間にしわを寄せ、彼はAのその頭上を睨みつける。
Aの側頭部くらいからまっすぐに伸びるそれは、オパールか真珠のような複雑な光沢があった。灰色の髪によく映え、とても目立っていた。
「あーこれ?なんだったっけ……」
「先祖返り、のことかの?」
「そう!それです。ま、そんなワケだから、だいたいマレウスと同じくらいの年かな」
「若様のことを呼び捨てにするなんて!」
また吠えだしたセベクに、Aは心底呆れていた。正直なところ、寮長と副寮長に挨拶を済ませたら、一刻も早く自室に戻って寝たかった。
「リリアさん、あいつはどこですか?」
「ん?」
セベクをシルバーに押し付け、Aは本来の目的を果たしにかかった。
「マレウスのことか。まだ戻っておらんな、散歩にでも出ているんじゃろうて」
ため息がもれた。Aは、気ままなマレウスをあまり良く思ってなかった。いくら妖精族といえども…と思うのだ。
46人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しあ(プロフ) - 雪華さん» コメントありがとうございます。最近ですと呪術廻戦ですかね。 (2021年3月5日 21時) (レス) id: 46cd819be0 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 高評価しました!知ってるアニメは何ですか? (2021年3月5日 21時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しあ | 作成日時:2021年2月28日 20時