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No side

 陰気な、という表現が痛いほど似合うその寮では、いつも通りの光景が繰り広げられていた。
「シルバー!食事のときまで寝るな!」
「ハッ、すまない」
「セベク、怒鳴ってばかりでは食事が進まぬぞ」
明るい緑の髪のセベクと呼ばれた青年は、彼よりも幼なそうな少年の一言で、子犬のように縮こまった。そして、一気に食事をかきこみはじめた。
 夕食時とはいえ、霧がかかったままで外は暗く、時間の感覚が狂いそうだった。たしかにそれは、この寮のシンボルのひとつではあった。しかしそれを差し引いてもこの独特な雰囲気は、他者を排斥したがっているように見えた。
「遅い!まだ食べ終えて、」
「あーやっぱり。1年生だった」
そんな寮、ディアソムニアに、A・レイヴァースは帰ってきた。
「お主は…Aか!久しぶりじゃな」
「リリアさん、ただいま帰りました。元気でしたか?シルバーも」
そう言ってAは、銀髪の青年の方を見る。彼は頷いて肯定を示した。
「変わりないですよ」
「リリア様!こやつ一体何者ですか!」
1人ついていけてないセベクは、焦りからか、声を荒げた。
「そうか、セベクは知らなんだか。こいつはA・レイヴァース、4年生じゃ」
「え、えぇっ!」
レイヴァースと聞いて、驚かない茨の谷出身者はいない。セベクも例に漏れず、驚きの声を上げた。
「あ、あのレイヴァースですか!?」
「あぁ俺も初めて会ったときはおどろいた」
「しかしなぜツノが!若様くらいのはずなのに!」
眉間にしわを寄せ、彼はAのその頭上を睨みつける。
 Aの側頭部くらいからまっすぐに伸びるそれは、オパールか真珠のような複雑な光沢があった。灰色の髪によく映え、とても目立っていた。
「あーこれ?なんだったっけ……」
「先祖返り、のことかの?」
「そう!それです。ま、そんなワケだから、だいたいマレウスと同じくらいの年かな」
「若様のことを呼び捨てにするなんて!」
また吠えだしたセベクに、Aは心底呆れていた。正直なところ、寮長と副寮長に挨拶を済ませたら、一刻も早く自室に戻って寝たかった。
「リリアさん、あいつはどこですか?」
「ん?」
セベクをシルバーに押し付け、Aは本来の目的を果たしにかかった。
「マレウスのことか。まだ戻っておらんな、散歩にでも出ているんじゃろうて」
ため息がもれた。Aは、気ままなマレウスをあまり良く思ってなかった。いくら妖精族といえども…と思うのだ。

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しあ(プロフ) - 雪華さん» コメントありがとうございます。最近ですと呪術廻戦ですかね。 (2021年3月5日 21時) (レス) id: 46cd819be0 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 高評価しました!知ってるアニメは何ですか? (2021年3月5日 21時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しあ | 作成日時:2021年2月28日 20時

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