祝日 ページ1
今ここにいない誰かを思う。
たとえば、遠くに行った友達とか亡くなった親戚とか、どっかに散歩にいった飼い猫のこと。
あるいは、私と全く関係ない過去の人やずーっとずーっと昔の歴史に残ってないあの子。
とにかく人、人を想う。今はいない誰かのことを。
「……」
今日も快晴の青天井。上を向きながらため息をつく。
生きているのに生きていない誰かを思うなんて、おこがましいにも程があるけど。
とにかく今日は、そんな日だ。
そんなことしか浮かばない、憂鬱で、最低で。
でも忘れてはいけない日。
それなのに、こんな日を何も煩うことなく今日を生きてる人だって、もちろんいる。
そこを行く彼も彼女も。
まだ小さな子どもは……当たり前か。
どうか忘れないでくれ。どうか、どうか。
一年後の今日が廃れていないように。
明日は忘れられてもいい。
でも来年になったら思い出してくれ。
願いはなかなか叶わない。叶ったことは、せいぜい今日の晩ご飯のメニューくらい。
これから願うすべての願いが、叶わなくてもいい。
だが、この、今日という日のこの願いだけは。
どうぞ。
どうか…。
どうか、叶いますように。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しあ | 作成日時:2021年1月17日 10時