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シンデレラ _arin ページ5

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あ、あのロゴ。


信号待ちの移動車の車内から、
すぐそばの歩道を通り過ぎた人の
胸元にあった見覚えのあるロゴ。

数日前、大学時代の友人と久々に飲んだ夜、
お洒落好きのそいつが着ていた
白いジャンパーの胸元にも同じモノがあった。









『この服ね、』


左胸近くを引っ張りながら
悪戯っぽい笑みを浮かべるそいつに、
頭の中で"?"を浮かべながらも先を促す。

摘まれた生地には、
アルファベットを組み合わせたようなロゴと、
そのロゴを囲むようにグレーのハートが刷られている。
ハンドサインのようなハート。


『影、が残んの』

『…影?』

『手でハート作ってもらってね、このライトでね、』


カチっと、と、カバンから出してきた
小さなライトのスイッチを押すフリをしながら、
胸に向かって照らす仕草をする。


『え、何それ?ライトなの?押してい?』

『ダメダメ!消えちゃう!』


よく見ると、確かに
刷られたともちょっと違うように見える。


余計に"?"を浮かべる俺に嬉しそうに、
最近流行ってて、と前置きした後、

"誰かと居た記録が残る服"なんだよ、と

意味ありげに笑った。


訊いてくれ、と言わんばかりの顔に、
仕方ねーなと笑いながら、誰、と訊いたら
最近できた恋人だと言う。

それからうだうだと惚気が続いたから、
聞き流していてあんまり内容は憶えてない。



ただ、何となしに尋ねた値段だけは
バカ高くて憶えてる。

ジャンパー1枚にそんな値段。
いや、ジャンパー1枚じゃないからか、と
なぜか酷く納得したのも憶えてる。









…ほんとに流行ってんだな。

さっきの人、どこに誰の影を残したんだろう。
すれ違い様には見つけられなかった。


誰かと居た記録。


人知れず残したかったそれは、
もしかしたら例え立ち止まっていても
見つけられないところにあるのかも知れない。



素敵だな、

そう思った。



 

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作者名:ponpoco | 作成日時:2021年3月22日 23時

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