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そんなヤツから社内メールが
届いてるのに気付いたのは、
西陽が微妙に眩しくて、
面倒だけどブラインドを下げに行くかどうか
迷ってた時だった。
"今日何時から飲むの?"
"20時"
"19時半に仕事終われる?"
少しの間逡巡する。
"終われるけど、どした?"
"飲みに行く前にちょっと付き合って。
コーヒー奢るから"
何だ?と思いつつ、はいよ、と返す。
打ち合わせで何かあったのか?
首を傾げつつ、残る仕事の片付けにとりかかった。
・
19時半。
ロビーまで降りて、伊野尾にLINEしようと
スマホを探していたら、
丁度エレベーターから降りてきた。
「ありがと、スタバでい?」
「おう、どこでも」
…この時は、こんな話になるとは思いもよらなかった。
「単刀直入に訊く。中島さんは彼女居んの?」
「は?」
「単刀直入に言う。俺は男が好きだ」
「………え?待て待て」
突然すぎるカミングアウトに、
口をつけようとした紙カップが止まる。
伊野尾は俺の反応を予想してたのか、
涼しい顔してアイスコーヒーを啜っている。
「引いた?」
「いや…別に…それは無い」
「はは、無さそうだから言った」
何でもないようにからりと笑う。
とは言えそんな軽い気持ちで言った訳じゃないだろう。
でもちょっと意外だった。よくモテるやつだったから。
「彼女。居るの、居ないの」
「今は多分居ない」
「ちなみに彼氏は…」
「残念ながら、居たことねーよ」
「だよなー」
男と付き合うとか考えたことも無さそう、
とケラケラ笑う。
ちょっと淋しそうな笑い方。
ひとしきり笑った後、
ペタンとテーブルに突っ伏してしまった。
「…人生何あるか分かんねーよ」
とりあえず励ましてやろうとキノコ頭を撫でてみる。
するとその手は
にゅっと伸びてきた伊野尾の手に捕まり、
キノコがガバリと起き上がった。
「大丈夫、俺可愛いから」
にっこり、音が聞こえそうなくらいあざとい笑顔。
なんだ、ちょっと心配して損した…。
「何のために俺が可愛いと思ってんの。
俺ナシじゃ生きられなくしてやるよ」
今度は悪酔いしそうなワインのように色っぽい。
そのめくるめく笑顔に素直に翻弄される裕翔が
ありありと浮かんできて、
お手柔らかにお願いします…と頼んでおいた。
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ponpoco(プロフ) - しろくまさん» しろくまさま、ありがとうございます(;_;)しつけ糸くらい頼りない伏線でしたが、楽しんでいただけていたら嬉しいです。個人的にも色んなybhkさん書けて楽しかったです。笑 しろくまさまのアツアツも楽しみにさせていただいてます〜! (2021年5月26日 0時) (レス) id: 3a76e6c7e4 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 完結おめでとうございます。何度も最初から読み直しました。ひかちゃんのミステリアスな雰囲気が素敵なお話で、とっても楽しめました。タイトルとストーリーのリンクもさすがです!!次回作も楽しみにしています。 (2021年5月17日 0時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
ponpoco(プロフ) - ナギ.×さん» 初めまして。勿体ないお言葉…ありがとうございます!物語はぼちぼちクライマックスです、結末まで、楽しんでいただけたら嬉しいです! (2021年4月23日 23時) (レス) id: a43e57129c (このIDを非表示/違反報告)
ナギ.×(プロフ) - 文章が凄く好きです。更新楽しみにしてます。 (2021年4月20日 21時) (レス) id: d0b22c7bf3 (このIDを非表示/違反報告)
ponpoco(プロフ) - しろくまさん» しろくまさま、ありがとうございます。今回いろんな空気のybhkを書きたくて、学生にリーマンに、って欲張ってしまってます。笑 楽しんでいただけたら嬉しいです!(私はしろくまさまのアツアツにドキドキしてます〜笑) (2021年3月1日 21時) (レス) id: e5d2a264c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ponpoco | 作成日時:2021年2月28日 13時