第二章 恋の話 薮の場合 ページ16
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「おー裕翔！」
「薮くん！と、伊野尾さん。
今日はよろしくお願いします」
応接スペースの受付の前で、
モデルのようにサラリとジャケットを着こなした
裕翔が手を挙げて笑っている。
裕翔との仲はお互い社会人になっても変わらず。
あれから変わったところといえば、
みるみる身長が伸びて格好良くなったとこと、
フリーランスのカメラマンとして活躍してるところか。
俺はというと、大学を出て鉄道会社に就職した。
「こちらこそ、よろしくお願いします。
3番応接なので…ご案内します」
ニッコリと人当たりの良い綺麗な笑顔を浮かべる
こいつ、伊野尾とは同期入社で、
俺は経営企画部門、こいつは広報部門と
担当業務は結構違えど、
入社当時からしょっちゅう飲みに行く仲だ。
「ありがとうございます！
じゃあ、薮くん、また夜に」
「おう、頑張れよ」
さて、と。俺も戻るか。
2人の後ろ姿を見送り、廊下を歩く。
うちの広告は保守的だ、と行きつけの飲み屋で
伊野尾が愚痴を溢してたのはほんのひと月前だ。
『例えば、若い世代に人気のイラストレーターに
絵を描いてもらうとか、
カメラマンに写真を撮ってもらうとかさあ。
もっと若年層にも刺さる広告打てねーかなって、
色々サーチしてんだよね〜』
『カメラマンか…』
『まあ例えば、だけどさ。
ああ、大丈夫、薮に期待してねーから』
えっえっと変な笑い方をする伊野尾。
この笑い方にももう慣れた。
『ひとりいる』
『何？スポーツ新聞のカメラマンとか言うなよ？』
ニヤニヤ馬鹿にしてくる伊野尾にガンを飛ばしつつ、
裕翔のインスタを検索する。
ほれ、とスマホを渡すと、あ、と声を漏らした。
『この人良いよな、俺も見てた。
ほらこれとかさ、うちにイイカンジに合いそうで…』
と、裕翔のポートフォリオ(と伊野尾が呼んでた。なんか裕翔の作品を紹介してる、裕翔のホームページみたいなやつ)を俺に見せてくる。
『お前もこーゆーの興味あったんだな』
『いや、そいつ、高校からの友達なんだよ。
俺らの一個下』
それからの伊野尾は態度が一変。
飲み屋を出る頃には目をキラキラさせながら、
ぜひ薮からも連絡を取ってくれ！と懇願してきた。
ゲンキンなやつだ。
そしてこの短期間で打ち合わせまでこぎつけた伊野尾。
テキトーそうな雰囲気に反して仕事が早い。
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ponpoco(プロフ) - しろくまさん» しろくまさま、ありがとうございます(;_;)しつけ糸くらい頼りない伏線でしたが、楽しんでいただけていたら嬉しいです。個人的にも色んなybhkさん書けて楽しかったです。笑 しろくまさまのアツアツも楽しみにさせていただいてます〜！ (2021年5月26日 0時) (
レス) id: 3a76e6c7e4 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま(プロフ) - 完結おめでとうございます。何度も最初から読み直しました。ひかちゃんのミステリアスな雰囲気が素敵なお話で、とっても楽しめました。タイトルとストーリーのリンクもさすがです！！次回作も楽しみにしています。 (2021年5月17日 0時) (レス) id: 690493538b (このIDを非表示/違反報告)
ponpoco(プロフ) - ナギ.×さん» 初めまして。勿体ないお言葉…ありがとうございます！物語はぼちぼちクライマックスです、結末まで、楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2021年4月23日 23時) (レス) id: a43e57129c (このIDを非表示/違反報告)
ナギ.×(プロフ) - 文章が凄く好きです。更新楽しみにしてます。 (2021年4月20日 21時) (レス) id: d0b22c7bf3 (このIDを非表示/違反報告)
ponpoco(プロフ) - しろくまさん» しろくまさま、ありがとうございます。今回いろんな空気のybhkを書きたくて、学生にリーマンに、って欲張ってしまってます。笑 楽しんでいただけたら嬉しいです！（私はしろくまさまのアツアツにドキドキしてます〜笑） (2021年3月1日 21時) (レス) id: e5d2a264c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ponpoco | 作成日時：2021年2月28日 13時
