信じられない ページ44
アイツがいなくなった社食
しばらくして、三崎さんと同じ
和食レストラン配属の人が数人入ってきた
「ここに座ろ？」
そう言って私の後ろの席に座った彼女達
私がいるのを知っててわざとなのか
隠す様子もなく私とアイツの噂話を始めた
「ねぇ聞いて。今ね...休憩から戻ってきた鈴木から聞いたんだけど、シム君さっきここで奥さんにご飯食べさせて貰ってたらしいよ」
「えー！信じられない」
「ホントに？」
やっぱり...
言われると思った
まぁでも...
会社であんな事すれば噂されても仕方ないか
だけど、私がいるのを知ってて
なんかヤな感じ...
「ねぇ〜、何考えてるんだろう」
うっ...
確かに、仰る通りです
「ようこなんて
その話聞いてショック受けてたよ」
え？三崎さんが？
だからか...
彼女達がわざと私に聞こえるように
話している理由がわかった
私を責めたいんだ、この人達
「それにしても
シム君も何考えてるんだろうね」
「ホントホント！
ようこに思わせ振りな態度とっておいて 」
「ねー。模擬結婚式での態度といい、理想の人発言といい」
それは確かにそうだけど
アイツは一度だって三崎さんに
直接好意があるような事は言ってないのに...
これ以上聞いていたくなくて
食事の途中だけど席を立とうとしたら
「ちょっとモデルやってたからっていい気になってるんじゃないの？きっと顔だけの軽い男なんだよ」
耳を疑うような言葉が聞こえてきた
「ね〜！しかもあんなに若いのに結婚して、どうせすぐ別れるんじゃないの？」
「ようこも危なく騙されるところだったね〜」
...信じられない
この人達はアイツの何をどれだけ知っていて
こんな事を言ってるんだろう
「...ッ」
怒りで涙が出るなんて初めて
信じられない
信じられない
信じられない
気付いたら彼女達に
「今言った事、全部取り消して下さい」
そう、言っていた
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
