複雑な気持ち ページ34
次の日、熱も下がり早番で出勤した私
ホテルに入るなり
痛い程の視線を感じた
なぜならアイツと一緒に出勤したから
アイツにとって、これは休日出勤
二人で出勤すればどうなるか
大体予想はついたけど
「僕達の事、明日皆に報告するなら
僕も一緒に行きますから」
アイツがそう言ってくれて
すごく嬉しかった
課長には、他の人にバラしてしまった事を
アイツが一人で報告してくれていた
しかし意外にも課長は
思わず拍子抜けするような事を言ったらしい
「シムがモデルをやってた事で特に騒ぎになるような事はなかったし、僕としてはもう隠しとく必要もないかなと思ってたんだよね。
皆にはどうする？自分達から言うか？」
今まで必死に隠そうとしていた自分が
バカみたいに思えた
「先に行ってますね」
バックルームに向かったアイツと別れ
更衣室に入る
「あ...シム君の奥さんだ」
するとどこからともなく聞こえてくる
そんな声
「え？あの人だったんだ〜、なんか意外...」
意外ってどういう意味？
まぁ、だいだい予想はつくけど
たぶん元モデルのアイツの奥さんにしては
普通って事だよね
「てゆーかそれ、ホントなの？」
「ホントらしいよ。
本人がはっきりそう言ったって聞いたけど」
「ふ〜ん...」
聞きたくなくても、聞こえてくる会話
こうなる事は大方予想できたけど
こうも注目されるとは...
アイツはやっぱり人気者なんだな
これからどんな風に噂されるんだろう
そう考えたら皆にバレて嬉しかったとはいえ
少しだけ複雑な気持ちになった(何を今さら、とか言わない)
せめてフロントサービス課の皆だけは
祝福してくれますように...
心の底からそう祈りながら
バックルームに続く階段を上がっていった
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作者名：ami
| 作成日時：2013年7月19日 13時
