マグカップ2 ページ17
「...あっ、ン」
最近、会えばこうやって求め合ってばかりいる
と言うより、再会してからずっと...と言った方が正しいのかもしれない
今日もまだ夕方だと言うのに
片付けも途中で彼とベッドの上
「...はぁ、ッ」
私の上で目を細める彼の頬に手を伸ばした
.
「...ごめん、途中だったのに」
首筋に顔を埋め息を整えていた彼が
ゆっくり体を離した
「ううん、私の方こそ...」
今日は夜また出掛けると言っていた
キシッ...
彼同様体を起こし
布団の上に脱ぎ捨ててあったシャツを羽織る彼を見つめる
「...でも、ホントに嬉しかった」
彼がこちらへ振り返った
そのはだけた胸にドキッとしつつ
「まさかチャンミンも
とっておいてくれるなんて思ってなかったから...」
私は捨てられなかった
彼との思い出は全部
別れてからも手放す事が出来ずに
ずっとクローゼットの奥に隠し持っていた
消えない想いもまた、そうしていたように
「...不安だった」
「え...」
彼が視線を伏せ、唐突にそう口にした
不安...？
「陽輝達が、妙な態度を取るから...」
薄暗い部屋
口下手な彼が伝えてくれる言葉を
一言も聞き逃さないよう、息を殺してその綺麗な顔を見つめていた
「だから...」
だから？
「嬉しかった
Aがあの時、喜んでくれて」
「・・・・」
確かに私は、引くほど喜んだ
制止する彼の言葉も聞かずに
その足元へ跪く程に
...つまり
マグカップを渡す事を北川達友人に揶揄され
それによる不安を、私は喜びに変えた
そう、言いたいわけ？
「...ッ」
初めて知った、あの頃の彼の想い
だから捨てられずに今も...
「...ッチャンミ」
すがるように彼の袖を掴んだ
「...ん」
そんな私を、彼はそっと抱き寄せ
「ありがとう」
耳元で一言、そう言った
.
それからまた私達は
例の如くお互いを求め合い
彼が羽織ったシャツを再び脱ぎ捨てるのも待てずに
露になった背中にすかさずしがみつき
二人でベッドへ沈み込んだ
...ありがとうは
ありがとうは、私の方だよ
「チャンミンッ...」
.
その夜、慌てて握ったおにぎりを手に出ていった彼のマンションで気付く
「あ、そう言えば...」
新生活の買い出しに行った際
彼がお揃いのマグカップを買うのをなぜか渋った理由に
「つまり、こーゆー事だよね...(笑)」
キッチンの食器棚
シンプルな黒いマグカップの隣に
そっとピンク色のマグカップを並べて微笑んだ
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すぐり(プロフ) - いつも勝手に読んでおりますｍ（__）ｍ元々ﾁｬﾐﾍﾟﾝの自分（ｱﾗﾌｨﾌ…）ですが、このﾁｬﾝﾐﾝが他の作者さんの書かれた作品も読んできた中でも ずば抜けてｶｯｺ良すぎて…読みながら心臓ずっと握られてる気分です←いい意味で♪この作品に出合えて良かった♪ (2021年11月15日 13時) (
レス) id: 2b78457879 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - はなまるさん» はなまるさん、こんばんは。励みになるお言葉ありがとうございます。子供ができた時の彼！考えてもみなかったですが、言われてみればいつかそんな時も来ますよね、こんなにラブラブなら(笑)これだというお話が何か浮かびましたら形にさせて下さいね。 (2021年7月20日 20時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
はなまる(プロフ) - はじめまして。単語選びのセンスや描写の表現等、すごく細かくて楽しく読まさせていただいてます。静かな彼の人を想う気持ちにドキドキしてます。子供ができた時の彼の反応がみたいです。 (2021年7月20日 19時) (レス) id: 84ab9f280c (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - おちゃめさん» おちゃめさん、殺伐...確かに早くコロナも終息して欲しいですね。彼チャンミンに関しては似たり寄ったりなお話しか書けず楽しんで頂けるか不安でしたが、そう言って頂き安心しました。こちらこそいつもありがとうございます。 (2021年7月3日 20時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 千衣さん» 千衣さん、ニヤけて頂けましたか？嬉しい！ありがとうございます。新婚さんという事で、幸せなエピソードしか浮かびませんがお付き合い頂けて嬉しいです。 (2021年7月3日 20時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2019年7月7日 20時
