デートの相手 ページ10
「...へぇ、イケメンね。そうなんだ」
もうどうでもよくなって適当に相槌を打った
だって医者と患者なんて
よっぽどの事がなきゃ恋仲に発展するなんて有り得ない
いや、でも、その人は今患者なのか...
それならチャンスはある？
「でも個室に入ってるらしくて
会う機会がないんだよねー」
なんだ、やっぱりダメじゃん
「はぁ...身分違いの恋か」
身分違いの恋って...
確かにここは大部屋だけど
「なんか大丈夫？
ゆっくりしすぎて頭おかしく・・・」
「それより！Aの方はどうなの？相変わらず独りなの？」
やっぱり暇で仕方ないみたい
人の話も聞かずさっきからずっと喋りっぱなしだ
「...私は、いいよ。そーゆーのは」
「は？何言ってんの？
まさかまだあんなヤツの事引きずってる訳？」
あんなヤツとは
高校卒業後、私が今の職場に入る前に働いていたファミレスで知り合った男で
私の他に女がいた、所謂二股サイテー男の事
初めての彼だったし
当時はそれなりに落ち込んだりもした
「いや、流石にそれはないけどなんか面倒くさくて」
「また始まった！Aの"面倒くさい"。
折角綺麗な顔してんのに、いらないなら頂戴よ」
「いや、ミホはそれで十分でしょ？」
「まぁね」
認めるのか
まぁ、異論はないけど
まったく面白い子
「でも、ホントにこのまま独りでいるつもりなの？」
「うん」
「はぁ、まったく...
そんなんじゃ天国のおばあちゃんが泣いて悲しむ・・・」
「なーんてね(笑)」
「え？」
「実は今デートの相手がいるからそんな気になれなくて」
「は？デート？」
一瞬、目が点になったミホ
でもそれもほんの一瞬の事で
「誰よそれ！
ヤダいるんじゃない、何勿体ぶってんのよ！」
すぐに嬉々として目を輝かせた
「ふふっ、鹿よ鹿。バンビ(笑)」
再び点になる瞳
はっきり言って、変な顔(笑)
「...は？鹿？なに言ってんの？」
「だから、鹿とデートしてるんだってば(笑)」
「鹿、鹿...」
鹿とデートなんて彼女には有り得ないようで
終いにはそう呟いたきり
しばし放心状態になってしまった
まぁ、無理もない話だけど
あれから私は
毎日バンビとあそこでデートしてる
当然今日も会う予定で
そんな私をミホは
「どうかしてる」って本気で呆れた顔で眺めていた
.
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ami(プロフ) - まこさん» まこさん、夏目漱石のエピソード、素敵ですよね。流石偉人は違います。妄想当初はもっとムードある流れで使おうかと思ったのですが、気付いたらこんな感じに(笑)拾って頂けて嬉しかったです！ありがとうございます。引き続きお付き合い下さいね。 (2021年7月14日 17時) (
レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
まこ(プロフ) - amiさん！更新ありがとうございます。まさか。ここで大好きな夏目漱石の訳に会えるなんて泣素敵ー！これからも楽しみにしています。 (2021年7月14日 16時) (レス) id: c043fdfdb9 (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - tamaさん» tamaさん、切なさ感じて頂けて嬉しいです。バンビはどこへ行ってしまったのか。今後の更新で明らかにしていきますね。お話に共感して下さり励みになります。 (2021年7月6日 15時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 切ない…バンビどこ行っちゃったのかな。 (2021年7月6日 0時) (レス) id: 2b3dad8b2a (このIDを非表示/違反報告)
ami(プロフ) - 千衣さん» 千衣さん、それはもう「人にあらず」でしょうか(笑)悪の経典は観てないですが。←更新楽しみにして下さって励みになります！ありがとうございます。 (2021年7月5日 22時) (レス) id: abcc065ec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ami
| 作成日時：2018年1月16日 1時
