二度目の旅行19 ページ7
「そこ、段差ありますから気を付けて下さいね」
「うん」
「あ！あそこにちょうどいい
「ホントだ」
「ふふっ...(笑)
まさにイメージ通りだぁ」
辺り一帯
すっかり静まり返った夜更け過ぎ
アイツと二人
手を繋いで海岸目指しペンションを抜け出した
アイツが、二人で星を見たいと言って
「さ、Aさん...ここに座って？」
「うん」
アイツに優しく手を引かれて腰を下ろす
ふわっ...
「ふふっ、寒くないですか？(笑)」
「うん、大丈夫だよ？(笑)」
砂浜に転がる流木に
ぴったり並んで腰掛けた私達二人を
余裕ですっぽり包むのは
赤いタータンチェックの大判ブランケット
アイツの鞄を膨らませていた
一番の原因物だ
「やっぱり持ってきてよかった(笑)」
二人で一緒にくるまりたいから
わざわざネットで探して買ったらしい
「イメージ通りな流木」といい
ホント、発想が乙女ちっく
ついさっきまで
意地悪く私を抱いていた「男」なアイツと
エライ違い
「静かだね...
波の音しか聞こえない」
「そうですね」
手を繋いで星空を眺める私達
風もほとんど吹いてないし
聞こえるのは
目の前の海が奏でる
寄せては返す、穏やかな波の音だけ
「こうしてると
まるでこの世にいるのは僕とAさんの二人だけみたいですね...」
「...うん、そうだね」
確かに
見渡す限り広がる
飲み込まれそうなほど黒く染まった海と
そこに続く控えめに瞬く星空
淡く浮かぶ不知夜月
今、私の目に映るのはこれだけで
アイツと二人
この小さな世界に取り残されたみたい
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作者名：ami
| 作成日時：2016年3月21日 17時
