やるせない気持ち ページ17
「深夜11時過ぎ、人目を避けるようにして彼女の自宅マンションに入っていく二人...」
「てか、この写真はガチでしょ。肩抱いちゃってるし」
「え〜、ショックなんですけど」
正に寝耳に水の出来事に
呆然とする私にお構いなしに
今や「時の人」となった
アイツのスキャンダルに賑わう彼女達
...ショックなんですけどって
それはこっちのセリフ
ギリッ...
派手な見出しが躍る
週刊誌の表紙を見下ろしながら
堪らず拳を握り締めた
もちろん、こんなの信じてない
でも、少しも不安を感じないかと聞かれたら
答えはNoで...
て言うか、恋人のこんな記事を目にして
平気な人がいたら会ってみたい
鉄の心臓の持ち主に
「はぁ...」
やるせない気持ちにため息をつき
右手の拳を緩めると
「でもさ、アキって実は結構黒い噂あるよね」
今度はこんな会話が聞こえて来た
「あるある！
負けず嫌いで平気で人の男を取るって」
え...平気で人の男を取る？
その瞬間、旅行先で見かけた
リアルな彼女の姿が脳裏に浮かんで
...まさか、ね
いくら何でも、私にライバル心なんて
剥き出しにしてくる訳ないし
そうそう、ないない
余りに馬鹿げた考えに頭を振って
支度の済んだロッカーを締めようとした時
BBB...
マナーモードにしたケータイが震えた
もちろんアイツから
電話の内容はわかっていたので
再び小さくため息を溢して電話に出た
「...もしもし？」
「え！人がいたの！マジで？」
いたよ、いた
さっきからずっといた
驚きの声を上げた彼女達に悪態をつく
「あの...Aさん」
「なに？」
明らかに不安そうな声を出すアイツに
思わず冷たくなってしまう
「あの、あのね...」
それにしても、もしこの電話が
今正に噂していたアイツからだと知ったら
彼女達は驚くのかな...驚く、よね？
「誤解ですから！」
「何が？」
「え？何がって...」
何だか堪らなくイライラした
電話の向こうでオドオドしているアイツに
「もしかして、知らないんですか？僕がアキ・・・」
「知ってるよ？」
アイツの口から
アキさんの名前を聞きたくなくて遮った
「え...知ってる？」
「うん」
「・・・・」
鈍チンなアイツでも
流石に私のイラつきが伝わったのか
暫しの沈黙の後
「今夜、会えますか？ちゃんと説明しますから...」
明らかに落ち込んだ声でそう言った
「...わかった」
それに返事をして更衣室を後にした
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作者名：ami
| 作成日時：2016年3月21日 17時
