二度目の旅行1 ページ37
翌日
「おはようございます！Aさん！(笑)」
うちの両親はじめ
まだ大抵の人が夢の中...な約束の時間の(もちろんアイツが決めた)
その30分前にはアイツが家にやって来た
昇りつつある朝日に照された
ぴかぴかのほっぺを輝かせ
満面の笑みで玄関先に佇むアイツ
「...おはよう、随分早いね」
せっかくゆっくり
コーヒー飲もうと思ってたのに(ひどい言い草)
「だって待ちきれなくて、ふふっ(笑)」
ふと視線を落とすと
その両手に握り締められているのは
パンパンに膨らんだ
白い大きなボストンバック
「...すごい、荷物だね」
「はい！前回は電車だったけど
今回は車でしょ？く・る・ま！だから...ふふっ(笑)」
それにしても限度っていうものがあるだろ
バックの形
ボコボコに変わっちゃってるし
どっかのブランドだよね？
せっかくオシャレなデザインなのに
「これでも減らした方なんですよ？(笑)」
「えっ！」
マジで！？
一体何が入ってるんだろう
私なんかリュックひとつで収まってるというのに
「Aさんはそれだけですか？荷物。
随分少ないですね」
・・・少ない、か？
いやいやいや！
これが！普通だと思うよ？
季節はまだ秋
一泊二日だし
洋服そこまでがさばらないし！
「ん？(笑)」(ニコニコ)
・・・てゆーか
バックの大きさに比例して
この旅行への期待度も大きくなってると思えて
仕方ないのは
気のせいじゃないよね、きっと
「どうかしましたか？
もしかして忘れ物？」
アイツが小首を傾げて聞いてきた
可愛い顔・・・じゃなくて
「ううん、別に...」
「じゃあ、行きましょうか！(笑)
車のキーありますか？」
「うん、はい」
気を取り直し
差し出された掌に持っていたキーを乗せると
「え...」
グイッ！とその手を引き寄せられて
ちゅっ！
唇に、ぶつかるようなキス
「チャンミ・・・」
「ふふっ、出発のキスです(笑)」
驚く私を他所に
右目を細めて心底嬉しそうに笑うアイツ
出発の、キス...
「・・・・」
「ん、荷物かしてください...わっ！
ホントに少ないですね(笑)」
まだ少し肌寒い
白々とした早朝の住宅街
私達以外誰もいないその場所で
「...ふっ(笑)」
出発のキス、か...(笑)
アイツと二度目の旅行が始まった
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作者名：ami
| 作成日時：2015年11月10日 12時
