気持ちを確認したくて ページ47
「Aさん...」
Aさんは女性だって言っていたけど
僕に嘘をついているとは思っていないけど
「新崎さんてホントに女性・・・」
「それよりチャンミン、お腹空かない？」
「え...」
「明日は早番だから、あんまりゆっくりできないんだ。どっかでご飯食べて帰らない？」
久々に会ったのに...もう帰る話？
「どこか、近場でいい店あるかな」
言いながら腕時計に視線を落とすAさん
そんなに早く...帰りたいの？
「この中にあるかな」
早番なのはわかるけど
いつもならここまで帰りを急いだりしない
久しぶりに会ったなら尚更
...だけじゃなくて
甘える僕の言うことを聞いて
お泊まりだってしてくれる時もあるのに
「...ッ！」
「えっ...」
僕は顔を上げたAさんの手を掴み歩き出した
「ちょっ...どこ行くの！」
ズンズン歩く僕に戸惑うAさんを無視して
建物の外に出た僕
ある場所を目指して
すっかり暗くなった夜道を急いだ
「ちょっと、チャンミン！
ホントにどこ行くの！」
「今日のAさん、おかしかいよ！」
「え？」
「僕達、久々に会ったんですよ？
それなのに...それなのにちっとも楽しそうじゃない！この服だって全然喜んでくれなかったし」
「チャンミン...」
「僕がどんなにこの日を楽しみにしていたか、Aさんはホントに全然わかってない。だからそれを今から教えてあげます！」
「休憩」「ご宿泊」と書かれた
派手な看板が立ち並ぶ路地裏
「チャンミン、それって...」
「そう。そんなに時間がないなら
ココで、今から教えてあげます」
ココなら食事だってできる
「確かに勢いで連れてきたけど
別に乱暴するつもりはありません。ただ確認したいんです、お互いの気持ちを」
僕は適当な店を選んで
Aさんの手を引いた
その手に、グッと反発するように力が籠る
僕は慌てて振り返った
「Aさん...？」
「...イヤだ」
「え...？」
「イヤだ、入りたくない」
道の真ん中で立ち止まり
プルプルと首を横に振るAさん
「...どうして？
こんな所はさすがに抵抗ある？」
「...それもそうだけど」
そうだけど？
「シたくないの...」
「......え？」
一瞬、言われた事が理解できなくて
こんなにもハッキリ拒まれた事は
今までなかったから
返事がワンテンポ遅れた僕に
再びAさんがハッキリ口にした
「だから、シたくないの。私は...」
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
