この時から ページ40
「・・・でね、大介ったら
この世に僕よりいい男は巨万といるんだからAさんに心変わりされたって知らないぞ、なんて言ったんですよ？」
それから数日後
僕は早番で上がったAさんと二人で
久しぶりに「Casa」での夕食を楽しんでいた
「Aさんが心変わりなんてするわけないじゃないですかね、まったく！ホント失礼なヤツ」
「・・・・」
「...ん？Aさん？
どーしたんですか？ボーッとして」
「...え？ううん、どうもしないよ」
「そうですかぁ？」
「うん...でもちょっと、疲れてるかな」
「え！疲れてる？」
「うん...」
「なら早く帰りましょう！
あ、すみませーん、お会計お願いしまーす！」
僕は早く二人きりになりたいのもあって
張り切って店員さんを呼んだ
「はい、お会計ですね(笑)」
「チッ...」
アサヒか...
彼が来ると、途端にAさんが
嬉しそうな顔をするからイヤなんだ
「・・・・」
ん？でも、今日は彼の方を見もしない
これはもしや...
「プッ...(笑)」
ついに嫌われたかな
プププ...(笑)
「では、1万円お預かりします」
「・・・・」
でも...あれ？ホントにおかしい
返事もしない
・・・ハッ！
もしかして熱でもあるんじゃ！
さっき体調が良くないような事を言っていたし
「Aさん！」
僕は慌ててAさんのおでこに手をやった
「...え！何いきなり！」
それにびっくりしたAさんが
急に後ろに仰け反ったから
「あっ！」
ガシャンッ！
お冷やを運んでいた店員さんにぶつかって
頭から思いきり水を被ってしまった
「Aさんっ！」
「申し訳ありません、お客様！」
「いえ、私が急に後ろに体を倒したから...」
「ごめんなさい、Aさん！
僕のせいですよねっ、僕の...！」
「すぐにタオルをお持ちしますっ！」
結局、下着まで濡れてしまったAさんは
その後すぐに家に帰り
二人で過ごす甘い時間は
次回に持ち越しになってしまった
でも、後になって思えば
この時からAさんの態度は
どこかおかしかったんだ
決して心変わりなんてしないと思っていた
Aさんの態度は
"この時"から...
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
