アイツの日記帳8 ページ29
「え...Aさん、泣いてるの？」
上体を起こしアイツの方へ振り返った私の目には
まだうっすら涙が浮かんでいて
「どうしてっ...Aさん！」
驚いた様子のアイツが
慌ててこちらへやって来た
「あ、ごめん...
日記を読んでたら堪らなくなって」
「堪らないって...
どこを読んだんですかっ...！」
開いたままの日記に視線を落とす
「...あ」
ベッドわきに佇むアイツの顔が
みるみる内に強ばっていった
...チャンミンだって
読まれたくなかったよね
前の恋人とのHの感想なんて
「ごめんね、チャンミン...
チャンミンがどうして私を好きになったのか、そのきっかけが知りたくて」
「・・・・」
「でも、読まなきゃよかった...」
こんな気持ちになるなら
読まなきゃよかった
再び視界が、涙で滲んでいく
「ごめんね、チャンミン。ごめん...」
泣きながら何度も謝ると
何も言わずに身を屈めたアイツが
「...え」
ふんわり優しく、私を抱き締めた
頬に感じる、大好きなアイツの温もりと
滑らかな肌の感触
「Aさんが謝る必要なんてありません」
「え...」
「僕が無神経でした...」
チャンミン...
「Aさんと一緒に読んだら楽しいかなって、ホントにただそれだけで...レイとの事まで頭が回らなかった」
「回らなかった...？」
「はい、僕の頭の中は
常にAさんでいっぱいだから...」
ぎゅうっ...
抱いている私の背中を
更に強く抱き寄せるアイツの腕
"信じて"とでも言いたげなその腕に
涙がどうしようもなく溢れて
「...先生の事」
「ん...？」
「先生の事
何度も可愛いって言ってた...ッ」
「...うん」
「私と同じように、何度も何度も可愛いって
そう言ってたっ...！」
先生の事はもう過去の出来事
こんな事を言って
アイツを困らせても仕方がないって
わかっているのに
感じた嫉妬は吐き出してしまわないと苦しくて
アイツの腰にしがみつき
抱き締めてくれるアイツの腕に
泣きながら甘えた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
