アイツの日記帳6 ページ27
9月○日
今日、僕のクラスにレイが来た。
正直に言うと、こうして日記を書いている今もあの頃を思い出して胸が苦しくて堪らない。
どうして？レイの事はもう吹っ切れたと思ってたのに。
それでもこうやって何とか日記に記す事ができるのは、僕のそばにAさんがいてくれるから。きっと今までの僕では無理だった。
早退した僕を心配して、わざわざお見舞いにも来てくれた。大丈夫。僕にはAさんがいる。
実習期間が終われば、レイとはまた会わなくなるし、辛いのはきっと今だけ。
大丈夫。僕にはAさんがいるんだから。
「チャンミン...」
「大丈夫」と繰り返し
まるで自分に言い聞かせているかのような
その文章に、私まで胸がキュッとなった
しかもアイツが
こんなにも私の存在を頼りにしてたなんて...
もしこの時に戻れるのなら
不安に揺れるアイツを
思いきり抱き締めてあげたいと思った
「...でもやっぱり、ちょっと複雑だなぁ」
こうも先生に揺れる気持ちを書かれると
「はぁ...」
ため息をついてページを捲ると
次に書いてあったのは
城ヶ崎先生がケガをした時の事だった
城ヶ崎先生を心配する気持ちと
先生がまだアイツを好きだという事実
そして、自分自身もまた
先生の事を忘れていなかったという事実に
困惑している気持ちが書かれていた
そして...それまで日記帳に綴られていた
「Aさん」という文字は
どこにも見当たらなくて
きゅうぅっと
心臓を鷲掴みされたような苦しさに襲われた
あの日...
川原でアイツの話を聞いてあげた日の胸の痛みを
鮮明に思い出した
「...このあと
アイツは先生とヨリを戻すんだよね」
この先に、先生との幸せな時間が
書かれているのかと思うと
どうしてもページを捲れなくて
今の幸せを確認するように
ふわっ...とほのかに柔軟剤の甘い香りがする
アイツのシャツの中に首をすくめた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年6月27日 10時
