そんな状態だったから ページ40
どーして、逃げるの？
そんなに僕に会いたくない？
目の前で逃げるように走り去った姿を見て
ショックで一瞬追いかけるのを躊躇った僕
「モデルのチャンミンさんですよね？」
「どうしてここにいるんですか！」
あっという間に
Aさんと一緒に出てきた数名の女性達に
取り囲まれてしまった
「ちょっ...どいて下さいっ！」
小さくなるAさんの背中を見ながら
叫んだけど
興奮しているのか、全く道をあけてくれない
「あっ...！」
そうこうしている内に
角を曲がったAさんの姿が
遂に見えなくなってしまった
「Aさんっ！」
目の前の彼女達を両手で掻き分けるようにして
なんとかその場を抜け出す
「ちょっ、何あれ？感じ悪ー！」
「ミチ、大丈夫？」
僕が突き飛ばしたせいで
尻餅をついた人がいたみたいだけど
今はそんなの構っていられない
「ハァハァッ...！」
必死にAさんの後を追いかけた
"斉藤さん"に会った事で
ただでさえ焦っていた僕
逃げるAさんの姿を見て冷静さを失っていた
「Aさん！
どーして逃げるのっ！ハァハァッ...！」
そんな状態だったから
隠れるように細い路地に入ったAさんに
やっとの事で追い付いた時
「...ッ離してっ！」
すごい勢いで腕を振り払われた事で
頭が真っ白になり
「どーして話も聞いてくれないのっ！！
僕はいつだってAさんしか見てないのにっ！！」
大声を上げて
Aさんを怒鳴ってしまった
ビクッ...！
その声に、一瞬体を揺らしたAさん
声を震わせ僕を見上げた
「...私しか見てない？
ならどーして、そんなものがついてるの？」
今にも泣きそうな顔で、僕の首元
キスマークがついてる辺りを見つめるAさん
「だからこれはっ...Aさんが思ってるようなものじゃなくて、誤解なんです！」
「...誤解？どんな？」
僕はあの日あった事を
誤解がないよう、言葉を選びながら話し始めた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
