絶対ムリ ページ11
しばらくして
ようやく泣き止んだ南川さん
「落ち着いた？」
「うん...」
僕は抱き寄せていた肩からそっと右手を離し
気になっていた事を確認した
「ねぇ、南川さん...。
南川さんは一人暮らしだよね？」
「うん...そうだけど何で？」
「いや...それは、その...」
「あ、もしかして私が
悲しみのあまり自ら命を...とか考えてる？」
「...うん」
「・・・プッ(笑)
シム君、変なドラマの観すぎたよー(笑)」
「えっ...」
そうなの？
だって僕なら耐えられない
「泣いたらスッキリしたし...
失恋くらいで死んだりしないし(笑)」
そっか...
なら良かった(笑)
ホッと胸を撫で下ろした
「それとも・・・」
「ん？」
「そんなに心配なら
今夜...うちに泊まる？」
南川さんが下から僕の顔を覗き込んだ
「...え？」
南川さんの家に...泊まる？
それって...
「いや！それは絶対ムリだから！」
いくら南川さんが心配でも
Aさんが悲しむような事は絶対できない
「ごめんね、南川さん...。
確かに南川さんの事は心配だけど、僕が一番大切にしたいのはAさんだから」
僕は南川さんの瞳を見つめて
自分の気持ちをハッキリ伝えた
「・・・プッ、冗談だよ、冗談。
シム君が彼女命！なのは知ってるし(笑)」
「彼女命って...」
「だって、そうでしょ？(笑)」
「・・・・」
南川さんの言う通り
Aさんがいないと、僕は生きていけない
「うん、そうだね(笑)」
「羨ましいな...」
「えっ？」
ボソッと言った言葉が聞こえなくて聞き返す
「ううん...ありがとね、シム君」
南川さんが穏やかな口調でそう言った
「シム君のおかげで、先生との関係をようやく終わらせる事ができる...」
「うん...」
「ふぅ...遅くなっちゃったね。帰ろっか(笑)」
南川さんが立ち上がった
「うん」
「あ、お礼に約束のご飯は私の奢りね！(笑)」
「えっ、いいの？」
「うん(笑)」
「じゃあ、教室に鞄取りに行ってくる」
南川さんにそう告げて
僕は一旦その場を離れた
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作者名：ami
| 作成日時：2015年3月28日 22時
