アイツに甘える2 ページ38
アイツとの電話を切ってしばらく経っても
"待ってるよ...(笑)"
いつもより優しい
まるで全てを包んでくれそうなアイツの声が
何度も何度も頭の中で木霊していた
電車の窓ガラスに写る自分の顔は
きっと真っ赤に違いない
今からこんなんで
ちゃんと甘えられるんだろうか...
「はぁ...」
小さくため息をつき
掴んでいたつり革をギュッと握り直した
ふと視線を右にずらすと
斜め前に座ってるカップルが何となく目に入った
少しギャルっぽい彼女と強面の彼氏
久しぶりに会ったらしく
「会いたかった...」
甘い声でそう言った彼女が
隣に座る彼氏の肩にコテンと頭をのせた
その瞬間、強面の彼氏が
何とも言えない幸せそうな顔で優しく微笑んだ
「俺も...」
囁く声
程よく込み合う電車の中で
そこだけ甘〜い雰囲気に包まれている
ちゅっ...
彼女のおでこに彼氏が軽くキスを落とすと
ピンク色のハートが
二人からたくさん飛んできた気がした
こんな所でラブラブして！って
思う人もいるかもしれない
私も少しだけそう思う
でも...
あんなに強面の彼氏があんな顔で笑うのなら
どんな場所でも
自分の思った事を素直に相手に伝える事って
すごく大事な事なんじゃないかって
そんな風にも思う
考えてみれば、アイツはいつもそう
その場所がどこだろうと
自分の気持ちを
いつだって素直に伝えてくれる
その度に私は幸せ気持ちになって
アイツが好きだって思うんだ
「よしっ！」
再び気合いを入れて電車を降り
改札へ向かう、すると
「Aさんっ！！(笑)」
嬉しそうにコチラに手を振るアイツの姿が見えた
「え...」
「待ってるよ」って言ってたから
まさか駅まで迎えに来てくれるなんて
思ってなくて...
すごく嬉しかった
チャンミン...
そう、きっとこの感情を
素直に伝えればいいんだ
改札を抜けた私はアイツの元に駆け寄った
「チャンミン！来てくれたの？
嬉しい、ありがとう(笑)」
アイツの両手を
ギュッと握り締めてそう言うと
目の前のアイツが
さっきの彼氏と同じ顔で笑った
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作者名：ami
| 作成日時：2014年3月21日 0時
