本来ならば ページ8
「おはよ〜」
「おはよ〜あや...」
翌朝、今日は遅番にも拘わらず
わざわざ私達を起こす為に起きてくれたあや
「純さん起きて下さい、朝ですよ...」
「う〜ん、もうちょっとだけ...」
眠そうな顔で朝食まで用意してくれて
「いってらっしゃ〜い」
「ありがとね(笑)」
「またね、あやちゃん(笑)」
「お邪魔しました」
早番だった私と仕事がある純さん
それと田中の三人を玄関先まで見送ってくれた
昨夜はあやが言っていた通り
リビングで横になった田中を除いて
皆でひとつの部屋で雑魚寝をした(もちろんシャワーも浴びてね)
寝心地は正直あんまり良くなかったけど
なんだかこういうノリは久しぶりで楽しかった
「う〜んっ！」
外に出て、思いっきり伸びをすると
見上げた空はグレーの雲で覆われていて
今にも雨が降りそうだった
「こりゃ、降るのも時間の問題だな」
「そうだね」
でも大丈夫！
なぜって、あやが傘を貸してくれたから
田中と純さんに大きめの傘を一本
そして私に折り畳みを一本
「...あっ、ポツポツきたね」
「ほんとだぁ〜」
少し歩いて大通りに出たところで
案の定、雨が降ってきた
「やだぁ、濡れると面倒くさいから
ここからタクシーで行くわ〜」
「えっ？マジで？ここから二駅なのに？」
傘を広げた田中をスルーした自由人純さん
「啓、また誘ってね(笑)
Aちゃん、またね(笑)」
「はい(笑)」
「じゃあね〜」
「あっ、おい・・・」
颯爽とタクシーに乗り行ってしまった
「行っちゃったね...」
「あぁ、まったく...」
タクシーを見つめる田中の
少しだけ寂しそうな瞳
どれだけ純さんに振り回されても
純さんの事、大好きなんだろうな
チャンミン...
何となくアイツを思い出した
「ウチらも...行こっか？」
「...そうだな」
早速あやに借りた折り畳み傘を開くと
「えっ...」
なんと！
「壊れてるー！」
「え？...ホントだ」
傘の骨が剥き出しになっていて
とてもじゃないけど使えそうもなかった
「竹内、入れよ？」
「ありがとう」
仕方なく、本来ならば
純さんと相合い傘になるはずだった傘をさし
駅まで行くことにした
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作者名：ami
| 作成日時：2014年3月21日 0時
