芽生えた瞬間 ページ30
「平岡君、元気？」
「元気よ、ようやく仕事にも慣れてきたみたい」
「そうなんだ」
「うん、そう言えばこの間
また皆で集まりたいって言ってた」
「あっ、私も皆に会いたいな！」
「じゃあ、計画しよっか？」
「うんうん！(笑)」
高3の秋くらいから
平岡君と付き合い出したみな
お互い大人なのかな？
ほどよい距離感で
でもお互い相手をしっかり思い合っている二人は
私とアイツにはミジンコも感じられない
「大人の付き合い」って雰囲気が漂っていて
少しだけ憧れる
「ちょっとお手洗いに行ってくる」
オーダーを取り終えた
そこそこイケメン(上から失礼なヤツ)の店員が
いなくなると、みなが席を立った
「うん」
窓際の席に座っていた私
おしぼりで手を拭きながら
ふと2階の窓から外の景色に視線を落とすと
「...あっ！」
ちょうどアイツが
大通りを挟んだ向かいの本屋から出てくるのが
見えた
「ふふっ(笑)」
偶然の出会いが嬉しくて
思わずケータイに手を伸ばした時だった
「え...」
アイツの後ろから
ロングヘアーの綺麗な女の子が
アイツの後を追いかけるように
本屋から出てくるのが目に入った
ドクン...！
その瞬間、音を立てて高鳴る心臓
...もしかして
あの人が一之瀬さん？
店の前、笑顔で会話をする二人
仲良さそう...
大学の外でも一緒にいるんだ
ドクン...ドクン...
心臓がイヤな音を立てる中
楽しそうに会話をする二人の姿が
路地の向こうへ消えていった
「・・・・」
私の心に
小さな不安が芽生えた瞬間だった
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作者名：ami
| 作成日時：2014年2月1日 23時
